早朝から激しく雨が降っている。年末押し詰まっての雨は年用意の段取りを狂わせるものとして不快なことである。妻の実母の二七日に当たるので帰省中の孫を連れて岡山に妻は出かけて行った。
「冬つひにきわまりゆくと見てゐたり木々は痛みをいはぬものにて」という馬場あき子の抒情歌を思い、ひっそりと木々の枝や葉が堪えているすがたを見るにつけ深まり行く冬の到来を感じている。また夕刻雨が激しく降って来た。知人が来て阪神高速環状線を走っていた知り合いが衝突事故に遇い更に前方車に追突するという厭なことを話しに来た。大過なきことだったとか。正月を控えてゆく年のことを考えると来る年のことを思はなければならない。
お貸した本を返しに大学の先生が年末のあいさつを兼ねて来られた。来年は闇市のことを学生と勉強するとのこと。ああ、あの闇市の光景を想い出しながら、あの殺伐とした闇市のことが学問の対象にされるとはと感慨深いことではある。
・きょうのわが駄作詠草
巨きなる冬の欅の下かげに佇みいつつ年惜しみいて
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