お盆も明け時の経つのも早く感じる。いつの間にやら一週間が過ぎていて、蝉の鳴き声も細く少なくなっている。同居している孫も朝早く信州にクラブ活動の合宿に出かけて行ったとか。長く耳にしなかった合宿ということばに違和感を感じる。遠い遠い学生時代の時間を手繰り寄せれば、大阪市内ではこの時期にはアブラ蝉、ヒグラシ蝉の声が聴かれ、地蔵盆の近づきとともに、灯の色の秋近くなる時節柄を感じさせてくれたものだ。それがいまでは、クマゼミに席捲(せっけん)されている。ラムネやサイダーのうまさに夏を惜しむ一時を愉しむのもこの頃でもある。ところで、この夏、顔を合わさなかったった年来の知人にばったり遭った。その車椅子に乗ったすがたを見て、声がかけ辛くなった。暑さに負けて食欲不振になると、この時節に使われる
夏痩せということばがあるのだがそれどころではない変貌の様子に、「暑さに負けたらたら駄目ですヨ。もうすぐ涼しくなるから・・・」としかことばがでなかった。
切なるこころで秋を待っているところである。
晩夏光ふと掌をあてて木に触れる片手ではなく両手となりて

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