雨が降らなければ暑い梅雨の晴れ間が続く。室内では湿気でじっとしていても汗が滲み出て来る。堪りかねて外に出ると風があり涼しいが、歩けば当然にして、30℃を越す真夏日なので汗は噴出してくるはずだ。
ツユとは雨のことなのか、水の玉のことなのかを訊ねられたことがあった。梅雨は雨で、露は空気中の水蒸気が水の玉になってついたもので、晴れた日の朝に、植物の体内の水が出てきて葉の先などに露の玉が溜まる。猫の額ほどのわが庭ではあるが、夏になればカエデや榎木の樹葉から滴る蜜液は、古代インドでは甘い飲み物とされ、苦悩を除き、長寿を保ち、死者をも復活させるといわれていて、仏教でも天人の飲み物とされ、仏の教えの喩えともなっていたとか。その甘露のことだが、中国でも仁政(じんせい=民衆に恵み深い政治)が行われると天が甘露を降らせるといわれた。 さて、仁政なるものが今のわが国にあるのかと、甘露のことを考えているところある。
変わりたる街となりしも飛ぶつばめ虫を咥えているうらかなしさよ

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