蒸し暑さが厳しい汗がにじみ出てくる6月尽の日で、一年の半分が過ぎて行く。東京では梅雨が明けたとか。江戸っ子久保田万太郎の
「六月や椎茸煮出汁(だし)の御嶽蕎麦」の句に六月の侘びを感じる。こなた、大阪では「アイスクリン」でも食べて、茅の輪でも潜って、汚れを払って来ようかと思っていた矢先のこと、雷が鳴り白雨が沛然と道路を濡らして行った。これで梅雨が明けたのだと、昔の年寄りたちは言ったものだが、その年寄りに自分も入っているのだと寂しくもなってしまった。
「なんと暑いのだ!正午!
僕は僕が何を云ってゐるのだか解らない(・・・・・)
それなのに僕はやっぱりお前が好きだ
太陽よ 気持ちのよい地獄よ」
堀辰雄の訳によるジャン・コクトー
『バットリィ』(断片)である。暑さのせいで意識も感覚も朦朧となった状態からはじまって、ここには幻覚めいた太陽のイメージが繰り出されて行く。太陽は「阿片よりもっと酔はせる」もの、「金時計の鎖をつけてゐる」ものであり、「僕の頸の上」に「はげしい打撃」をくわえるのである。
そんな6月尽の日は暮れて行く。さあ夏越しの祓いの「水無月」をいただいてみようか!
先日の地震に堕ちし地球儀のことを思いぬ暑き日のこと

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