暑い夏日が続いている。わが家から南に約100メートル先に阪神高速市内環状線のえびす町入口がある。その環状線の下に迫って来たG20対策の白バイの溜まり場があり30台余りの白バイの隊員がたむろしている。地図を広げ入念に道路状況をテェックする念の入れ方である。噂(うわさ)ではあるが、折角大阪に来たのだから家族にせがまれて通天閣に登りたいという要人もあるとか。緊急ランプを点灯させた白バイが市内巡回を終えたのか3台仰々しく戻って来た。このような大げさなテェックのなかをテロリストの闖入があるのかとの声が次第に高まっているのも事実である。手元に配布された大阪府警のチラシでは、6月27(木)→30(日)の計4日間大阪市内・高速道路・空港周辺は長時間大規模な交通規制(交通総量削減目標で平日通常時の交通量50%削減)と、強烈なアッピールが目に付く。大阪に戦前から住んでいる者にはこんな経験は初めてのことである。
すれ違いにやって来た中学以来の同窓生が足を引きずったあわれな姿に出遭った。歩け歩けと家族に嗾けられている自分も驚くその衰退した老残ぶりを見て、変わってしまった周辺を見回している彼があの白バイは何か事件があったのかと問いかけて来た。老人同士が寄り添って話込んでいたすがたを眺めていた者には、われわれも若い人にそのように眺められているのかと哀しい思いになって来た。それにしても緊急自動車出動のサイレンの響きも何時もより多く鳴っていて落ち着けない雰囲気である。外をうろうろするなというシグナルなのかもしれない。G20を控えた大阪の街なかである。
言い難き情報なりと様子見て緊急サイレン遠く鳴る音

1644

4