鼠六匹に冬の蛙

　曇っていたかと思えば薄日が差して天気予報を裏切っている。決算月にあたるので、在庫の棚卸し。１０月１日からの消費増税の動き。また店のドアの鍵に悪戯をされた得意先の不満など、遣り切れない思いの月末である。ふと気付いたことに、娘が知らぬ間に活けてくれた竜胆（りんどう）が机の上で、花の先が五烈した青紫の色が静まり返った深山の冷気を伝えていた。先輩の物知りから聴いた話を想い出す。花が咲き終った頃に根を陰干しにして、煎じて飲むと、竜の胆（きも）とあるごとく、熊の胆（い）などと同じように、その薬効を示していて、食欲の増進、消化不良に効果がある健胃薬と教えてくれたのだが、何故か胃がんで夭折してしまった。
　夕ぐれて来て、曇って来たのだが天気予報が当たれば明日は雨が降るはずだが。


　　ウイスキーその空瓶の不甲斐なさ酔えば叩き割りたくなる思い