秋分を過ぎたら少しずつ昼の時間が短くなってきて、日の暮れが早くなってくる。所謂、「短日(たんじつ)」、「日短(ひみじか)」、「暮早し」などの季語が
『歳時記』にあり、一日がたちまちのうちに過ぎてしまう気ぜわしさがある。「線香の箱美しき冬の朝」と頭の隅に残る句を想い出して、仏壇の前に用意されている蝋燭と線香を新しい函詰めから取り出して勤行をする冬の朝である。本来ならばきょうが父の月の命日に当たるのだが、昨年50回忌の 弔いあげを済ましているので、せめては、新しいもので灯明をあげようとまだ暗いなかをお勤めしている。そんななかに娘がゴルフに出掛けて行ったのがまだ戻っていなくとっぷりと日が暮れていて、将に短日の様相になっている。そんな冬の一日がやって来たのだ。
追い越され振り向きざまに挨拶され急くと言われて去る人がある

3377

6