日本政府から外出を自粛するようにとの緊急宣言が出されている。もしこの自粛を放置しておけば、50万人近い新型コロナウイルスによる感染被害があり先の戦争以来の死者が出ると聞く。
その昔、ウサギ狩りなる行事が世界各地にあった事例がテレビで放映されているのを不要不急に外出しない退屈にかまけて観てしまった。ウサギは山野に多く、畑の作物を荒らし、木の皮をはいで木を枯らすことが多く、杉の造林地帯の被害が相当あったと言う。そこで冬になるとウサギ狩りをした学校行事があったことを想い出した。もう大都会にはそんなものは存在しないだろうが、戦後の食料難の折にはまだあったのだ。昭和23、24年(1948,1949)小学校5年、6年の頃、山すそや谷の口に網(あみ)を張り、上から勢子(せこ)になった学童が横一列になって、棒切れなどを持って、大声をあげて木の洞などに隠れているウサギを追い出し綱にかかったのを捕まえ、そのあと捕獲したウサギの肉を利用したのを給食として食べたものだ。戦後の食料不足のころとて、何と美味かったことか忘れることができない。
そのとき、話の巧い生徒がすっくりと立って
『ウサギとカメ』の童話を語り出した。「ある時、ウサギに歩みの鈍さをバカにされたカメは、山のふもとまでかけっこの勝負を挑んだ。そして、かけっこを始めると予想通りウサギはどんどん先へ行き、とうとうカメが見えなくなってしまった。ウサギは少しカメの来るのを待ってやろうと余裕綽々で居眠りを始めた。その間にカメは着実に進み、ウサギが目を覚ましたとき見たものは、山のふもとのゴールで大喜びをするカメの姿であった。」と、その話が終り、拍手のあと校長先生が立ち上がり、「 過信して思い上って油断をすると大切な物を逃してしまう。能力が弱く、歩くことが遅くとも、脇道にそれず、着実に真っ直ぐ進むことで、最後には大きな成果を得ることが出来るのだヨ」と、優しく述べられた。そして、皆さんが知っている「うさぎとかめ」を私について歌って下さいと、音楽の女先生が手を振り出し大合唱が始まった。
「もしもし かめよ かめさんよせかいのうちに おまえほどあゆみの のろい ものはないどうして そんなに のろいのか なんと おっしゃる うさぎさんそんなら おまえと かけくらべむこうの こやまの ふもとまでどっちが さきに かけつくか どんなに かめが いそいでもどうせ ばんまで かかるだろうここらで ちょっと ひとねむり グーグー グーグー グーグーグー これは ねすぎた しくじった ピョンピョン ピョンピョン ピョンピョンピョン あんまり おそい うさぎさん さっきの じまんは どうしたの・・・」
日本が美しきこと懐かしく欲しいままなる空飛ぶつばめ

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