民主党の代表選考のテレビ中継を注視している。5人5様の政策の披歴の仕合であるのだが、同政党内でのことなので、コップのなかでの争い程度としか映らない。しかし、結果で総理大臣の椅子が転がってくるのだから、誰が勝つのかをと、注目せざるを得ない。第一回目の投票で過半数が獲れぬ場合は1,2位での決戦投票ということで、この場合、面白いドラマが生まれることが偶(たま)にはある。権謀術数に長けた軍師、策士が居れば、一回目の投票で4、5位になりそうな候補者を1位予定候補の陣営から票を渡して2位にさせ、1、2決戦投票のときに勝たせるという寝技もでるのだが、今回は如何なりや・・・、結果は2位の野田氏が1位の海江田氏を破り逆転している。小沢氏の大きな数を背景に第一回目トップの海江田氏が敗れたのだから、誰かがいじったのだろうと思うのだが、しこりが残らないことを願いたい。残れば、野党と組んで、総理大臣指名の逆転劇も可能な情勢にもなりかねない。2位が1位に勝つことは余り例のないことらしいが合従連衡(がっしょうれんこう)があったか、なかったかが分からぬまま決着がついてしまった。この野田氏の最初の立候補の弁のなかで、かつて衆議院議員になるための選挙で敗れ、3年8カ月のブランクがあったとき、とある講演会で聴いたという朝顔の話にこころを動かされた、ということを代表選での最初のスピーチで披露している。
「朝顔が夏の朝、可憐な花を咲かせるためにいちばん必要な条件とは何か。普通の人は日光を思い浮かべます。ところが、ある専門家の結論は、朝顔が花咲くための最も大切な条件は、暗い闇と夜の冷たさということでした。このとき、私は、初めて自分の落選と浪人の意味を悟りました。暗闇を知ってこそ、ほのかな灯りや日の光の有難さが分かるのだ。冷たさを味わった人こそ、温もりの有難みが分かるのだと」。こういうことをいえるのはなかなかの苦労人のようだと思った。
困敗為成(敗に困りて成と為す)。劉琨(271−318)という人が言ったことばがある。失敗したからといって、ただ嘆いていても始まらない。失敗するには、それなりの原因があるはずである。その原因を突き止めて、対策を立てることである。そのことが次の成功につながるということである。とまれ、東日本大震災の復旧・復興対策、原発・エネルギー政策、円高デフレの対策などの問題が山積している国難のときである。健闘を祈るしかない。
―今日のわが愛誦句
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淀君は関東恨む秋ぬけ毛 中野三充
―今日のわが駄作詠草
・夏去りぬ負けて悔しい人がいて
注文の鯛返品できず


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