
ある風景。どこの場所かわかる人いるかなあ? 結構、シンボル的なものが写っているけど。
彼岸の朝、両親の墓参りに行ってきた。墓地は、うちの家からクルマで5〜6分で行ける高台にある。お参りのあと、大分市内はもちろん、別府湾から遠く杵築まで一望出来るその墓地から、久し振りに視野を広げてみた。
遠く春霞にかすんで、いつもよりは展望が悪かったのだけど、それはそれで、穏やかに佇み、ゆったりと心を落ちつかせてくれた。うちの家もいつも通り見えていた。そうこうするうちに、いつもは見えていなかったものが見えてきた。春霞で見えにくくなったが故に見えたモノ…。
遠い昔、大分の広い平野はすべて海だった。狭間、野津原の入り組んだ鋭角的な海岸線。米良、松岡などの比較的まろやかな海岸線。そして、その大きな大分湾に浮かぶ上野の島。目の前には津守の錨島。ああ、もっと水平線の方に目をやれば、今は沈んでしまった瓜生島。
私が立つ明野丘陵を始め、至る所に猪や鹿などの獣が走り回り、すぐ下の海では人々が貝や魚を獲っただろう。穏やかな湾内には、いつも沢山の丸太舟が浮かんでいただろう。
目の前の、霞みたなびく広大な街並や遠くの山並を見ながら、ふと思い浮かべた。
春の海 ひねもすのたり のたりかな

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