2015/9/15

イサーン南部のクメール染織 絣入り絹格子布  染織



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製作地 タイ・イサーン地方南部 スリン  
製作年代(推定) 20世紀前期〜半ば
民族名 クメール系タイ人
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 平地・格子、経絣及び緯絣

タイ東北(イサーン)地方の南部、現カンボジアと国境を接するブリラム・スリン・シーサケットの各県は、クメール王朝時代の遺跡が残り、クメール系の住民が多く住む土地柄となります。

いずれも絹織物を主体とする伝統染織の産地ですが、取り分けスリンは黄金繭として知られるカンボウジュ種絹繭の養蚕が小村で継承され、手引き・手紡ぎ、天然染料の準備と染め、簡素な木杭作りの機での手織り、の昔ながらの表情を保つクメール織物がつくられてきました。

クラン(ラック)の赤、カエラエの黄、マクルアの黒、天然藍等により深く染められたカンボウジュ種絹の緻密な平地・格子で織られた本布は”アウン・プロム(Aum Prom)”と呼ばれ、スリンの女性が寺院詣での際などの日常行事の正装用の腰衣(パー・シン)として用いたものとなります。

遠目で目にする限りは落ち着いた色表情の質朴な格子の布ですが、近づいて見ると色格子の中に無数の白班が経糸・緯糸双方の絣として散りばめられている様子を確認できます。

”アウン・プロム”はスリン小村で作られ用いられたローカルな織物ですが、この控え目ながら手間隙の掛かる経緯の絣は、「私たちは繭を育て、糸を紡ぎ、自然から染料を戴き、一糸一糸を大切に染め、祈りとともに織り上げ...」という手仕事の証と誇りが表わされていると感じます。

本布は60〜70年を遡る時代の作例で、残念ながら今では失われし素材感・技巧のものですが、こういう織物があったことを記憶に留めたいと思う、懐かしく愛おしい表情の染織作品です。



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(参考画像) イサーン南部のクメール絹織物に用いられたカンボウジュ種絹繭
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