2016/2/16

17−18世紀の未完成のインド更紗  染織



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製作地 インド北西部 グジャラート州?  
製作年代(推定) 17−18世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スラウェシ島トラジャ
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き、媒染、防染、両面染め
サイズ 約90cm×約480cm

本来は染め作業の完成後、鋸歯模様エンドボーダーと同向い合せエンドボーダー間の焦茶中央部で切断され、二枚の布が扉状に接ぎ合わされて完成に至った(はずの)大判のインド更紗。

しかしながら本布は、海洋交易の時代に、未切断・未縫製のままインドから船に載せられスラウェシ島トラジャの地にもたらされたもので、未完成のままの作品と看做すことができます。

数年前インド・グジャラート州で、左右接ぎ合わせ分を連続して染める手法の両面染めアジュラックを目にしたことがありますが、本布は17−18世紀まで遡る時代に、同じ手法で染められた両面染めインド更紗が存在することを”現物として確認できる”貴重な資料と考察されます。

トラジャ人が祭事儀礼の幟旗等として用いるため、敢えて未切断のままの長布を求めた可能性が考えられますが、300年前後の長きにわたる歳月、この布を代々継承する中で、”誰もこれを切断しようとしなかった...”という事実に驚かされ、ある種の畏敬の念を覚えます。

トラジャの地で、日本の”古渡り”にあたる時代のインド更紗の完品が残存するのは、インド更紗を”聖布マア”として崇め、これを一族の家宝として伝世する慣習が脈々と受け継がれてきたためですが、本布の存在は聖布信仰の(根強き)本質を裏付けるものと言えるように思います。



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