2016/2/19

キノコ的な”キンマの葉”模様の手描きインド更紗  染織



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製作地 インド北西部 グジャラート州?  
製作年代(推定) 17−18世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スラウェシ島トラジャ
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き、媒染、防染、両面染め

一見すると”葉っぱ”が描かれているとは思えない、”キノコ”か”つくし”のような不思議な絵柄が手描きされたトラジャ渡りのインド更紗。

しかしながら、トラジャ渡りインド更紗の様々な作例を目にしていくと、これは明らかに”キンマの葉”を表わすものであり、それがデフォルメされたものであると判ります。



●15−16世紀作のトラジャ渡りインド更紗に描かれた”キンマの葉”
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●14世紀作のトラジャ渡りインド更紗に描かれた”キンマの葉”
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※上画像は平凡社刊「別冊太陽 更紗」より転載いたしております



●キンマの葉(コショウ科コショウ属)
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ビンロウジ(檳榔子)を砕いたものと石灰・香辛料等を”キンマの葉”に包み口の中に入れて噛む、清涼感のある嗜好品”キンマ(蒟醤)”は、南アジアと東南アジアを中心とする熱帯アジア圏でひろく用いられてきたもので、古代に遡る長い歴史を有します。

また”キンマの葉(betel leaf)”自体に様々な薬効(有効)成分が含まれていることが知られており、噛み嗜好品とは別に、諸地域・諸民族それぞれの方法で薬としても用いられてきました。

鎮痛等の薬効成分及び興奮・酩酊作用を有する(とされる)キンマは、古来より宗教儀礼・呪術とも深い結びつきを有しており、意匠が凝らされた檳榔子カッターやビルマの蒟醤漆器等、儀礼に纏わる手工芸のうちにも、その結びつきの深さを伺うことができます。

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インドネシア・スラウェシ島トラジャにおいては、この地にもたらされた14世紀に遡るインド更紗(上掲)のうちに”キンマの葉”が描かれていることが確認されており、トラジャ向けデザインとされるインド更紗には、他の国・地域向けの交易インド更紗とは明らかに異なる高い頻度で”キンマの葉”が描かれていること(その作例)を見い出すことができます。

本トラジャ渡りインド更紗は、86cm×116cmと小ぶりで特殊なサイズの作品であり、トラジャの祝祭・葬祭儀礼に欠かすことの出来ない”キンマ(噛み嗜好品)”を使用する際に、王族・貴族階級の者が道具敷きの布として用いた可能性を指摘することができます。



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