2011/5/29
奉納用の神馬(じんめ)と絵馬 生活と祈りの道具

製作地 日本・庄内地方(山形県酒田)
製作年代(推定) 19世紀 江戸時代
神社・寺院での祈願の際にひろく用いられている“絵馬”は、本来、神様の乗り物である馬(=神馬)を豊穣祈願として奉納することに由来しており、時代とともに簡素化・形式化されていった慣習の一つとなります。
馬自体を奉納(献納)することは、する側・される側の双方の負担が高く、絵馬へと移り変わっていったものですが、絵馬以前には木や土でつくられた馬型の像が奉納された期間があり、東北地方のような馬に纏わる民間信仰が根強い一部の地域では、比較的近年(江戸時代)まで、本品のような“神馬”を製作・奉納する伝統が継承されました。
現在”絵馬”というと、一方的にこちら側(人間側)の願いを予め用意された木板に書き、用意された場所に吊り下げ、”神様お願いいたします”とお祈りするものとなっており、奉納の意味合いもほぼ失われてしまいました。せめてお礼参りは忘れないようにしたいものです。

製作地 日本・北東北地方
製作年代(推定) 20世紀初頭 明治時代