『パーマネント野ばら』
監督:吉田大八 脚本:奥寺佐渡子
原作:西原理恵子
先行プレミア上映会@ミッドランドスクエアシネマ、菅野美穂挨拶つきに行ってきました。・・・女の子映画かも、イヤ、元女の子映画で客席はパンチパーマのオバチャンたちで占められているかも・・・というのは杞憂でした。意外にスーツ姿の男性客が多い。ひょっとして、客席埋めるためテレビ愛知が社員や関連会社に動員かけた?
ナマ菅野美穂は、可憐でカワイイ。『君の手がささやいている』のころとあまり変わっていないような気がした。トークは何喋ってたかな?1ヶ月くらい合宿みたいにして撮影してたとか、みっちゃんのセリフ「どんな恋でも、ないよりましやき」が好きだとか・・・。
なおこ(菅野美穂)の幼馴染みっちゃん(小池栄子)は、血まみれの壮絶バトルをダンナ(加藤虎ノ介)と繰り広げるし、ともちゃん(池脇千鶴)は次々と男に捨てられる(というより、突き飛ばされる蹴倒される。ラーメン丼といっしょにブッ飛ばされるともちゃん、最高!)、それでもどんな恋でも、ないよりまし。なおこの母(夏木マリ)のパーマネント野ばらの客たちも雀百まで○○○忘れず状態。山中、ゴミの中のゴミ同然のあばら家に住む婆さんも爺さんをとっかえひっかえしてるようだし。男なしでは生きていられない。
って、この映画の男たちは、どーしょーもないのだけれどナ。野垂れ死んだり離婚されたり、ヨソの女の家に行ったっきりでそっちと一緒になりたくても離婚してもらえなかったり→野ばらさんのダンナのカズオ(宇崎竜童)とか。
みっちゃんのもうひとつ元気のいいセリフ「泣いたら、金が逃げてしまいますぅ」。これは、父親(本田博太郎)ゆずり。みっちゃんの父親というのもトンデモナイんだか、まともなんだか。本田博太郎ファンのためには書いたほうがいいか、ナイショのほうがいいかわからないけれど、自分のための記録ということもあるから書いちゃう。
トラックではねたのが自転車だけでよかったと大喜び―そりゃマトモなんだけど、ハイテンションが尋常ではないとか、妻子に米や肉を食わせようと(家族思いのいい夫、いい父親ではないか)電柱を切り倒す。これはムカシの姿。
それが習い性と成ってしまったのか、家族の大喜びの姿いわば父親の栄光が忘れられないのか、ボケてしまった今、夜な夜なとはいわないけれど時々チェーンソーで電柱を切りまくる。凄いですねぇ。取り鎮められれば、みっちゃんが取り分けてくれた焼き肉をおとなしく食べてる。頭の中も外もうすら禿げてしまった父親=博太郎さん必見。
温泉の宿から恋人カシマ(江口洋介)が姿を消してしまったので、パーマネント野ばらに戻ってきたなおこ。悄然と想いに沈んでいると、急に明りが消えてしまうのもみっちゃんの父親のせい。暗闇に花火のように飛び散る火花がとても美しくて、ワタクシはふいに“我々の生(ヴイ)のやうな花火の事を”という言葉を思い出してしまいました。芥川龍之介の『舞踏会』だったかな。
なおこの恋も、やはり、ないよりましなのかなぁ?夜の電話ボックスで寂しくて寂しくてと涙を流していても?
女の子映画で『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』は、ちゃんと終わってスッキリ感がありましたが、『パーマネント野ばら』には解決感はないです。フランス映画にままあるようにイキナリ宙ぶらりんで終わってしまいまうので、余韻の後引き嫋嫋。

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