劇場公開された『猿飛佐助 闇の軍団』の前半。
闇の軍団の編成のためのメンバーのトレーニング過程が主ですから、その現場責任者というか指南役の小助(本田博太郎さん)の露出度大です。
闇の軍団というのは、暗殺集団です。目的は、ほとんど滅亡の瀬戸際にある豊臣の起死回生の策として、徳川家康(菅原文太)を暗殺すること。このプロジェクトの推進者は、真田幸村(高松英郎)その配下猿飛佐助(松方弘樹)。
そのため、全国から若い忍を集め、どこかの山中で過酷な錬活修行を課すわけです。これは、修行というよりは、体力気力それに運の強さについてふるいにかけてるんですね。
まず、山の中。小助のおっさんが若い娘(くノ一)二人伴ってあらわれます。なにか苗木に水でもやるような風情ですが、立ち木に何日も縛り付けられている闇の軍団候補生に水をやるんです。日限がくるまでに何人かが死に、生き抜いた者達には、大きな握り飯が!喜んで手を出そうとすると、小助先生はその中のひとつには毒がいれてある、と。この握り飯試練で一人が死亡、7人残る。また、7人に6本の木刀を示しそれでお互いに戦わせるとか(『赤面ゑびす』では甲兵衛が闇雲一家にやらせようとした)、そんなことをやってるわけです。
徳川方ものんびりしているわけではなく、天海僧正目付写楽(小西博之)や幻術使い卍(弓削智久)たちに九度山を逃げ出した真田幸村の行方を追わせているんです。
その仲間が、闇の軍団候補生達の中にはいりこんでいるわけ。一人は小助に見つかって自害したけれどもう一人!小助は訓練生たちに自分達でカマリを見つけて始末するように言い渡します。これは、実はカマリを泳がせて敵の出方をみるという猿飛佐助の作戦だったけれど、才蔵(吉岡毅志)の反発のため×。小助自らカマリを示すことになるが、追い詰められたカマリはのろしを挙げてしまう。これで、幸村や小助たち居場所が知られることになり、小助は壮絶な最期を遂げてしまいます。
あいかわらず、博太郎さんの動きはいいし、声や表情の変化もなるほどと思わせるものがあります。
それになんといっても、死に演技は、冴えてますね。
監督:宮坂武志
脚本:水上竜士、石倉保志
撮影:宮田伸二 音楽:野島健太郎 美術:塩田 仁

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