ところどころ削ってあって、直次郎風半纏の芸人のシーンはお豊の小言はなくなってました。直次郎の半纏は、背中の部分にオレンジ色(サーモンピンク?)の大きな束ね熨斗の模様でしたが、芸人のは文字のようでした。緑・オレンジ・黒・白と色づかいは同じです。
博太郎さんの吉五郎、少々獰猛そうな表情の盗っ人。文吉(遠藤憲一、ふてぶてしい悪党、長生きしそうにない悪党の感じが佳)の態度に「どなたに口利いてると思ってんだ」ととがめる声の調子とか、腰をかがめて控えているときの目線とか、なんだかこういう感じが“いつもの”博太郎さん。食物屋の「いつものヤツ」のように、驚きはないけれど、安心感があるし結局こういうのが好きなんだな。
この映画は、あちこち「おいおい、そりゃないぜ!」みたいな部分がある。長谷川家の若様辰蔵(東根作寿英)がお豊に誘惑されてしまうなんて、おっかさんくらいの女だぜ。盗賊から足を洗うと約束した狐火の勇五郎(世良公則)の右腕を斬り落とすという処分。盗みもできないだろうけれど、真っ当な仕事も難しかろうに、どーすんだ。平蔵(中村吉右衛門)を襲う刺客は、居合いの名人かなんだか知らないけれど、抜いた刀をまた鞘に戻すことはないじゃないか。
吉五郎、斬られて倒れたけれど絶命したかどうか不明。いくらおっかない盗賊改めでも反撃力を失ったヤツに止めを刺すなんて無駄な殺生はしないんで、生き延びたかもね。少々おかしくなって生き延びて、『女犯十手裏仕置II』の詰の番になった、そー思うよ。
1995年11月18日公開 監督:小野田嘉幹 脚本:野上龍雄
ちなみに『女犯・・・』は翌年の1月6日リリースだから、詰の番は時間的にも○でしょ。

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