博太郎さん目当てなら、映画を見に行くよりもGyaOで
“もうひとつのTANNKA vol.3「仕事」”を見たほうがいいかもしれない。編集長・小田切(本田博太郎)のシーンは、映画ではもう少し長く、さらにもう1シーンありますが・・・
“等身大に人から評価されたいとがんばりすぎて、ついつい背伸び”という“もうひとつのTANNKA vol.3「仕事」”の奇体なセリフで悪い予感がしたけれど、オキテ破りの意外な言葉の組み合わせが新鮮な感動を生むってこともある・・・阿木耀子は作詞家だから言葉に期待したんですが、陳腐&かったるい。言葉がダメなら、ストーリーはというと、何かコトが起きるわけでもなく、ヤマもオチもない。新しい切り口で見せてくれるわけでもない。挿入される短歌も効果的とは思えない。<肉体と映像と言葉>のフュージョンが<女を目覚めさせる映画>って無理じゃないか?まぁ、女人たちに聞いてみなきゃわからんけど、アタリマエの女はもっと切実に目覚めてるかもしれん。
この映画で一番面白かったシーンは、葬式帰りのカラオケ屋。ほとんどワルプルギス・ナハト、魔女の宴。このシーンのアタリマエの女たちを深めるなり広げるなりすればよかったのに。
「女どもが本気で子供を生みたくなるような、そんな記事を書け」。
薫里の記事にきつくダメを出した小田切編集長の言葉が、映画のゴールへの折り返し点だったかもしれない。薫里のラストシーンは、これに対応するといえば対応するんだけど、薫里の成果に対する編集長のお言葉が聞きたかったヨ。この映画では“仕事”の扱いはいい加減だからナ。
映像に関しては、非常に魅力的なシーンがいくつもありました。クレジット見たら撮影が仙元誠三、さすが。博太郎さん出演作では『侠道』シリーズ、『平成残侠伝 血闘』、『凶気の桜』などの撮影担当。どれも意外な映像美のヤクザ物です。
この『TANNKA 短歌』の中で魅力的な映像を一つ挙げると、ラスト近く、圭(黄川田将也)が夜明けの光みたいな中を歩いてきて手を伸ばして叫ぶシーン。しっかし、何故彼はそこで「ヘンシン!」と叫ばなかったんだ?惜しいぜ、まったく。
後は、褒めるとすれば、バーの女主人・しほ役の高島礼子と大女優・大里響子役の萬田久子。高島礼子など彼女の最初のシーンのちょっとした表情でこの女の背景が知りたい!とそそらせるし、この映画で一番官能的だったのは萬田久子のボール・エクササイズ(というのかな?)シーン。薫里とM(村上弘明)や圭とのHシーンは何故かあまり官能的ではない・・・エロくないHシーン、新鮮っちゃ新鮮だけど、何だかナー。
2006.11.11 公開
監督:阿木耀子 脚本:阿木耀子、岩下悠子(原作:俵万智『トリアングル』) 音楽:宇崎竜童
撮影:仙元誠三 美術:和田洋
キャスト:
黒谷友香、黄川田将也、村上弘明、西郷輝彦、中山忍、吉野紗香、高島礼子、井川比佐志、本田博太郎、萬田久子

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