最終回となった『必殺仕事人2009』。
老中・加納実守(杉本哲太)のところに囚われた涼次(松岡昌宏)が巳ノ助(火野正平)によって容赦のない拷問を加えられる・・・というのが見せ場の一つだったのかな?巳ノ助の変態っぽい拷問人はナカナカのものでしたが、涼次の痛めつけられ具合がいま一つ。
くくりつけられたままというのは、体で演技する範囲が狭まるから、不利といえば不利なんだけど、どこがどう拙いのか?
で、痛めつけられ様がスバラシイのをお口直し、いや、お目直しにひとつ。
『鬼平犯科帳 第4シリーズ 第10話 密偵』(1993年2月24日フジテレビ)で青坊主の弥市(本田博太郎)が石抱の牢問をくらっているのもいいのですが、ここは、やはり仕事人で。拷問もとい牢問以外の部分は今回パスね。
拷問・・・町奉行所じゃ拷問というのはもっぱら釣るし責で、これはあまりやらなかったそうで、笞打ち、石抱、海老責の牢問のほうはしばしば行われたとか。
『仕事人 vs オール江戸警察』DVD KIBF 8098
放送日:1990年10月5日 テレビ朝日 必殺スペシャル秋
監督:原田雄一 脚本:保利吉紀 ついでに、撮影が石原興です。
頃は天保、水野越前守(大出俊)やら鳥居甲斐守(米倉斉加年)、さらには平田深喜=平手造酒(滝田栄)まで出没するハナシ。鳥居耀蔵が南町奉行に着任し、仕事人取締りに乗り出します。それが、まぁ、おとり捜査で、それに引っかかった仕事人が捕まるというわけです。マトのひとり、黒川伝兵衛(金子研三)の屋敷に忍び込んだのは、加代(鮎川いずみ)、太棹の新之助(田村亮)、駒吉(光本幸子)、剃刀の辰(本田博太郎)の4人。中村主水(藤田まこと)は、鳥居耀蔵の取り締まりの厳しさを恐れてパス。からくり屋の鶴(笑福亭鶴瓶)はどこぞの大からくりの細工が忙しいとパス。それは、黒川の屋敷をネズミ捕り状態に仕上げることだったから、忍び込んだ4人は大変。
それで、剃刀の辰が捕まって吟味を受けることに・・・両手首を高く縛られて胴体を竹で挟まれてるのは、きっと、牢問の範疇なんだろうな。辰は、鳥居耀蔵に面を見せろと言われて、自分で体をねじるようにして顔を向けてやる。その不敵な面構えがいいやね。やはり表情ですね。鳥居耀蔵が話すことは聞いていて、ちゃんと表情が反応する。また、唸り声は上げるけれどぎゃーぎゃー喚かない。こういうの、苛烈な吟味に対して絶対口を割らないという意思が、もう、なんというか滲み出るようです。で、この様子を物陰からこっそり主水が見ている。主水の顔の照明がちょっと怖いシーンです。
途中に主水が加代たちに警告するシーンをはさんで
焼きごての場。大変シンプルな画面で、手を縛られたままシンとうずくまっている辰の姿が決まりまくりです。お前もしぶといやつだと焼きごてをあてられると、さすがの辰も獣のような叫び声をあげるというシーン。『必殺仕事人2009』の涼次も同じような目にあったんですが、涼次には獣っぽさが足りないんだろうか?
このあとの辰の出番は、死体。
退庁時間も過ぎた奉行所内で主水が拷問部屋(こういう人聞きの悪い名前の部屋じゃないんだろう)で舌を噛み切って死んだという辰の死体を見る場面。
涼次拷問の場が、ガンバッテんだけど何か足りない感があるのはなぜか?そんなことシロウトにはナカナカわかるもんじゃありませんが
『必殺仕事人2009』は画面にいろいろなものが有りすぎたということもあるんだろうな。何しろ、如月(谷村美月)までひっ捕まえられてシモトで打ちすえられてたりするからナ。涼次の体の落書き―梵字とか陰陽道のヒトガタみたいなヤツ―も、何だか意味ワカラン。あれで、巳ノ助の拷問の恐ろしさが増したということもない。

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