『大都会 Part III 第33回 最後通告』
放送日:1979年5月25日 日本テレビ
監督:渡辺拓也 脚本:新井 光
日テレプラスで再放送の『大都会 Part III 第33回 最後通告』を見せていただきまして、「おいおい!」と気にかかったのは、博太郎さんのセーター!
『近松心中物語』の代役での大当たり後のためか、メインゲスト扱いでクレジットに名前が出てきます。暴走族変じて誘拐犯となった三人組の一人、八木健三です。ほかの二人は中根武と高山常男・・・演じているのは誰かワタクシにはわかりません。クレジットには、“本田博太郎”に続いて“小林重四郎 椎谷建治”の名前が出てきますが、小林重四郎は年齢からいって娘を誘拐されたヤクザの親分・森戸寅吉だと思います。で、たぶん椎谷建治は中根武役ではないか・・・。高山常男役のほうは皆目見当がつきません。
ドラマの途中までは、八木健三よりも中根武と高山常男のほうが活躍しています。
思うに、このドラマへの出演は『近松・・・』前から決まっていて、もともとあまり大きくない役だったんじゃなかろうか?で、『近松・・・』で話題になったんで少々手直しがあったのでは・・・。
このドラマの撮影は、推察するに『近松・・・』の直後。
なぜって、八木健三を演じる博太郎さんの唇には口唇ヘルペス。週刊平凡の1979年3月29日号には、『近松心中物語』千秋楽(1979年3月8日)の1週間後の博太郎さんのインタビューが掲載されていますが、それによれば、代役2日目にできた口唇ヘルペスがまだ消えてないということでした。
そしてもう一つ。記事中の写真では博太郎さんはVネックのセーター着ているのだけど、逃亡を図る八木が着ているセーターと同じだぞ!インタビュー中では、友達に借りたんだけど、気に入ってまだ返してないとおっしゃっていますが・・・千秋楽の朝テレビに出ることになって借りたんだそうだけど、ドラマの収録でも着てしまったんだ。
閑話休題
八木健三は、おとなしくわきのほうに引っこんでいて、いかにも小心そうに見えます。それが、追いつめられると妙に肚が座ってしまう。つかまってリーダー格だった中根が白状しそうになると、八木は釈放を要求して「最後通告だ」と言い放つ。釈放しなきゃ、時限爆弾とともに閉じ込められている人質の居場所を教えないんだそうな。
で、一応釈放されますが、最後の最後に黒岩軍団(渡哲也とか寺尾聡とか)に追いつめられます。中根が手を挙げて出て行こうとするのに、八木ったら、「中根〜!行くな!やめろ〜!」と拳銃を向けて撃ってしまう。このわめき声はずっと後の『剣客商売5 第6話 その日の三冬』の岩田勘助の「来るな〜!来るな、来るな〜!」と同じ。う〜む。声の質や口調というのは変わらんものだな。

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