『鬼麿斬人剣 天下無双の刀鍛冶 愛と青春の七番勝負!』
監督・脚本:伊藤俊也(原作:隆 慶一郎(新潮文庫刊))
赤井英和、初の時代劇主演だったらしい。1995年12月28日放送のテレビ朝日系年末時代劇。撮影当時の新聞記事(朝日新聞1995.09.22夕刊)には“同時に劇場版も初めて製作する”とありますが、映画も公開されたのかしらん?
赤井英和演ずる鬼麿は、剛腕でやたら長い、というよりも大きい刀を振り回す刀鍛冶。刃渡り約1.3メートルだそうだから、『大帝の剣』ほどではないけれど、普段は菰にくるんで持ち歩いているから嵩高い。
鬼麿には清麿(萬屋錦之介)という師匠がいたのですが、満足な刀が打てなくなったと自害。その時に、各地に残る清麿作の駄作の処分を鬼麿に遺言。
そのわけというは
清麿はかつて伊賀同心頭領(夏八木勲)の娘と深い仲になったが、娘にお上の手がつき、娘は自害。清麿は、逆恨みした頭領一味に追われて逃げる途中、路銀稼ぎのため出来の悪い刀剣を作ったのだそうで、駄作が世に残ることを悔いて・・・ということ。
一方、伊賀のお頭のほうは、清麿が死んだからと言って恨みは晴れず、鬼麿より先に見つけて清麿の駄作を世に曝して笑い物にしうっぷんを晴らそうという魂胆。それで繰り出される伊賀者の一人が服部小平太(本田博太郎)、パチパチパチ・・・清麿の剣を尋ね歩く鬼麿の行く手に立ちはだかるのですが、う〜む、情けなさが印象的。
鬼麿をしたってついてゆく少年・たけ(山崎裕太)に山の中で「オイ、小僧」と声をかけるのが小平太。賽ノ河原みたいな所で日の暮れてゆく中、小平太は仲間を引き連れて鬼麿を襲いますが、ただ一人斬られ残って鬼麿と真正面に向きあいます(って、最初からそこに突っ立ったまま)。それで、鬼麿が剣を振り上げるとギャーとわめいて一目散。なんか北京原人みたいに駆け去ります。
イヤ、斬り合いの前、鬼麿に声をかけて「御大層な刀を持っているが、刀で人を斬ったことがあるか!」などと言ってる頃は、強そうだったんだけどねぇ。
巡礼姿で鬼麿に同行していた伊賀の頭領の娘・おりん(田村英里子)に遭遇した小平太、鬼麿のことを化け物と呼び、一計を案じたことをおりんに告げます。片掛銀山の鉱夫を使うたくらみなど声をひそめて説明してる。ボソボソ声が、悪だくみにピッタリ。
片掛銀山では、鬼麿を油断させて襲いかかった山役人・馬場八之丞(中康治)と鬼麿の追いかけっこに乗じて、小平太、刀を抜いて鬼麿の後を追いますが、振り向きざまにバッサリ。おしまい。あっけないですねぇ。
“愛と青春の七番勝負”とサブタイトルにありますが、赤井英和、三十代半ば。七番勝負というのは、一番、二番と数えるような勝負があったわけでなし。
時代劇専門チャンネルで八月中に何度も再放送されるようですが、マツカンさんの再放送のお知らせには載ってないようですね。忘れてしまった?見るほどのものでもない?

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