六月の晦日、半年の大祓えで身を清めて、「炎ゆ」「灼ける」のイメージがある炎暑、灼熱、極暑と
七月や赤き木屑を挽き散らしと山口誓子の感性が鋭い七月を迎える。なのに、関西電力は昨夏比15%の節電要請をしている。市民生活はもとより、「はい、解りました。」と各企業、団体は節電モードに突入した。一私企業が国家権力を凌駕する顔を何時からもちはじめたのか、その慇懃無礼な顔が見え隠れする。可笑しなことに故障中の火力発電所の再稼働の結果、7月の電力供給は、計算上、ピーク時の需要に十分なりとの皮肉な結果が示されている。剰(あまつさえ)、40年を超えた老朽した美浜2号機をなお一層の運転延長を企んでいる、原発絶対安全主義神話の姿勢を崩そうとしていない。「巨人軍は永久に不滅なり」とほざいて失笑を買った、あの陳腐な賛辞にも似た阿(おもね)りが恐ろしい。
自他七月才は無くとも能は在り中村草田男の諧謔を思い出すまでもなく関西電力幹部の傲岸不遜な面皮を剥がしたくなる。
楊梅(やまもも)。山桃とも書く。今ごろ雌株に熟した実をつける。直径1、2センチの暗紅紫色の丸い球形で、甘ずっぱい味がする。昨夜、妻が四万十の旅から土産に持ちかえったその実を口に含みながら自然豊かな山紫水明の様相を想像しているところである。生のまま長時間の保存は難しいと言われ、関東以北では新鮮な味を経験出来にくく、畢竟、西日本が中心の果実の食文化圏になっているようだ。その西日本の産地では、「ヤマモモ」とは言わずに「ヤマモ」と方言で呼んでいるらしい。なるほど、マリモなどの藻(モ)を想像でき、桃(モモ)のつぶらな実という意味でこのヤマモの方言になったのであろう。「熟せば、紅・白・紫あり。紅、白に勝り、紫、紅に勝れり。」と物の本に書かれているのを読みながら節電の暑さに耐えているところではある。
関西電力が求める9月22日までの暑くて、長く、辛い夏がスタートした。
―今日のわが愛誦句
・
念力のゆるめば死ぬる大暑かな 村上鬼城
―今日のわが駄作詠草
・汗滂沱と流れしままに夢覚める
昼寝のあとの悪(にく)む刹那ぞ

左が足摺岬のやまもも、右が四万十のやまもも。

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