帰校中の小学生が、七夕竹を手に歩いていた。梅雨がまだ明けてない雨の空が恨めしいことだろう。芭蕉の句に
七夕の逢はぬ心や雨中天このぶんでは、今夜の牽牛・織女の二星が一年に一度の逢瀬がある天の川は大阪からは望めまい。しかし、この二つの星合いのとき、天の川を鵲(かささぎ)が埋めて橋を造り、対岸の牽牛のところに織女を渡すという古い伝説が中国にはある。7月7日になるとカササギの首の毛が抜けてしまう。それは牽牛が織女と天の川で出会うとき、カササギの橋を踏み渡るからだともいう。そんな星合いのロマンを想像しながら雨天を仰ぎ見ているところである。
笹の葉さらさら 軒端に揺れる
お星様きらきら 金銀砂子
五色の短冊 わたしが書いた
お星様きらきら 空からみてる
一年に一回の星の逢瀬を、一年に一回しかその情景を想い創られた童謡の歌詞を噛みしめるのもこの日の郷愁である。
2018年の冬季オリンピックが韓国の平昌(ヒョチャン)に決定した。三度目の願いが叶った。五色の短冊に書いた五輪の願いに韓国民の喜ぶ顔が浮かぶ。七夕の夜の朗報ではある。
―今日のわが愛誦句
・
星の恋空に任せて老いにけり 阿部次郎
―今日のわが駄作詠草
・七夕や浅き夢みて酔い覚める
原発政策の隠蔽のかげ

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