大寒という日が近づいている。江戸時代の俳人浪化(ろうか1672−1703。父は東本願寺14世法主琢如。)に
「松竹や同じ寒さに同じ色」という句がある。深い味わいがある心境が伝わってくる佳吟にこころのなかまで寒さがしみ込んで行く。虚仮不実のわが身にて 清浄の心もさらになし、とは愚禿親鸞の寒々とした世界である。大阪でも厳しい寒中にあって終日寒さに震えている。昨日、山陰、浜坂のかにツアーの土産にもらった蟹みそで熱燗を啜りながら寒さをしのいでいるところである。
話のお国の王様は、お供(とも)にはぐれて 日がくれて、
話のおくにの 森のなか。
お炬燵(こた)にあたって きいてても、
なんだかつめたい 雪の夜。
お供のいない 王さまは、どんなに寒かろ、さみしかろ。
金子みすずの世界に雪の情景が浮かぶ山陰の海の海鳴りを思いながら、こころのなかの寒さが解けて行く。どうやら熱燗の酔いが回ったらしい。
―今日のわが愛誦短歌
・
原色のかなしみをきりきり突きつける
この画よ立ちてひもじきときに 中城ふみ子
―今日のわが駄句
・短日や仏こころに酔い深く

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