昨日に比べ、きょうはまた暗く時雨れて寒い冬の天候である。師走を目の前にして年の瀬が押しつまって来た感じを覚える。 来年は平成30年で西暦2018年、干支は戊戌(つちのえいぬ)である。
先日の東京での記憶が甦って来る。同行の義妹は戌年である。渋谷のハチ公像前で写真を撮った。以前来たときハチ公の足元に猫を連れてきてずっと座らせている御仁がいたが、今回は来ていないらしい。ハチ公の人気に肖ろうとしたのだろうが、猫では駄目だったようだ。ハチ公は相も変わらず大勢の人に取り囲まれていた。
犬といえばもう一頭、有名な秋田犬がいる。そこでスカイツリーから南北線でそこに行くことに。東大前駅で下車、弥生キャンパス(農学部)に向かう。
実はこの犬もハチ公なのである。ハチ公は大正13年(1924)生後50日で鉄道で小荷物として運ばれて東大農学部教授上野英三郎博士のところに来た。大の愛犬家であった博士は、体の弱かったハチ公を自分のベッドの下に寝かせるなど細心の気遣いをして育てた。そして、大学や渋谷駅にいつも送り迎えをさせていた。が、大正14年(1925)5月21日、博士が大学で急死した。そのことを知らないハチ公はその後、朝夕に駅に通い、改札口から出てくる人々の中に上野英三郎の姿と匂いを求め続ける。ハチの心には、愛情に溢れる飼い主に可愛がられた日々の記憶が消えることがなかったに違いない。
東大の弥生門を潜れば、公孫樹の下の広場に、上野博士が迎えに来たハチ公といつもそうしていたように、博士に飛びついてスキンシップをしている、大喜びの愛情あふれた像が目に入る。人と犬との素晴らしい関係を象徴する像である。早速、此処でも義妹が記念撮影をしたのはいうまでもないことである。
金色の ちひさき鳥の かたちして 銀杏散るなり 夕日の岡に
与謝野晶子の詠んだ風景がその像の周囲にあった。
美しき日は稀なれと雨に散る銀杏に埋まる道歩きいて

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