近在の都市銀行が街から
去って行って転々と移り変わり、今は難波スカイオの19階に移転してしまった。近くて遠くなったので預貯金の管理が億劫になってしまったので整理に行った。あと遅ればせながら携帯電話をスマホに替えるべく南地に出掛けた。どちらもうんざりするほどの時間がかかってしまった。銀行ではン十年前の通帳に印鑑、漸くスッキリと始末ができた。携帯ショップでは、簡単スマホなるものがあるらしいが、付添人にさっさとアイホンが良いと発注されてしまい言われるままに書いたりチェックしたりそれでも2時間以上かかってしまった。
長い待ち時間に高層階にあるビルから窓外を眺めていた。大阪湾の臨海工業地帯を詠んでいた大阪の詩人小野十三郎の
『葦の地方』の風景が遠望出来る。
「遠方に波の音がする。末枯れはじめた大葦原の上に 高圧線の弧が大きくたるんでゐる。地平には 重油タンク。
寒い透きとほる晩秋の陽の中を ユーフアウシヤのやうなとうすみ蜻蛉が風に流され 硫安や 曹達や 電気や 鋼鉄の原で ノヂギクの一むらがちぢれあがり 絶滅する。」
冬の太陽のひかる大阪湾を望みながら午後を埋めている。
うしろからドンドン後を追いかけられ地下街歩く怖き足音

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