朝から雨が降り続いている。相変らず新型コロナウイルスの国内の感染者数の増加が気になり、株価の動向で世界の経済の行方が不透明に、米大統領の民主党のスーパーチューズデーの候補者の推移が注目され出した。じっとしておくのに絶好の雨なのだが、新型コロナウイルスが絡んだ暖冬という言葉を跳ね除けた冷ややかさを覚えている。歌人斉藤茂吉は、
『老身はひたすらにしていひにけり「群鳥(むらどり)とともにはやく春来(こ)よ」』と、山本健吉によれば、「老いたわが身に、春の到来が、ひたすらに、待たれる。それは童児の願望にも似る。〈小鳥たちの囀りとともに、春よ来い、早く来い〉と、さながら子どもの口吩である。」と、観察する。雨に濡れまいと傘を指しながら八十を超えた老身を支えているところである。
弱まりし顎門(あぎと)で噛みし雛あられ春を待ちつと雨眺めいる

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