何時の間にやら彼岸の入りになっていて
「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」と正岡子規の呟きを思い出す。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われているように、この頃より春暖の気が定まって来るのだが、今年は新型コロナウイルスの騒ぎで様子が違う春の到来になっている。大阪ではお彼岸と言えば四天王寺への参詣の人出で賑うのだが、寺に通じる参道は寂れ、動物園、美術館などは臨時休館で、周辺の新世界などの行楽地にある飲食店街の臨時休業の貼紙も目立ち出し、手持ち無沙汰の商店主の愚痴が飛び交っている。所謂、春の彼岸日和のなかをテクテクと逢坂を四天王寺まで歩いているのだが今年は往時の彼岸の入りの雰囲気がなく、天王寺区周辺にある寺院を借りて三月場所が開催されている大阪府立体育館に場所入りする力士の姿もなく、新型コロナウイルスを意識しての車での場所入りで昔からの風情も見られなくなってしまった。
そんなことを感じている今年の春の彼岸の入りの風景である。
一匹がおきさられいて餌を待つ寂しき路上野良猫の街

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