旧暦では六月を水無月(みなづき)と呼び明日からは七月と新暦では月名が替わる。何故か肌寒さを感じている。気象に博学な気象予報士によれば、梅雨前線にオホーツク海高気圧の冷たい風が吹きつけると、前線が停滞して曇ったり雨の日が続く。その寒気団が強い日には、肌寒さを感じるとか。青葉の茂る時期を
青水無月とも言い、落合直文の名吟、
「青葉茂れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ 木(こ)の下陰(したかげ)に駒とめて 世の行く末をつくづくと 忍ぶ鎧の袖の上(え)に 散るは涙かはた露か」の楠公父子永訣の桜井での別れもこの季節であったのだろう。
蛇足を承知の上で、古典の
『太平記』の授業で、「ともに見送り 見返りて 別れを惜む折かに またも降り来る五月雨(さみだれ)の 空に聞こゆる時鳥(ほととぎす)誰れか哀れと聞かざらん あわれ血に泣くその声を」と、涙ながらに語っていた老教師のことを想い出す。恐らくこの先生には古典文学の最高傑作は、『太平記』だったのだろう。
新型コロナウイルスの感染拡大に気を揉みながら今年も半分が過ぎてしまった。
かの詩を哀しと思いさなきだに年老いしかな何時の間にしか


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