雨が小降りの中、久し振りに歩いてみた。月末月初の繁忙と新型コロナウイルスに発症する東京を始めとする都会の感染患者が日々増えていて、京阪神でも対岸の火事ならぬ様相になって来て外出を控えるようになったのだが、ここに来て歩行数の落ち込みが気になって来た。喧しく散歩を促がす妻の忠告を訊いて寸暇を割いて出かけることになった。マスク警察なる凡愚の輩の目を無視してマスクを着用した。誰かがくれたか白大島紬のマスクがそっと手渡されていた。手元にある
『俳句歳時記』では、「マスク」とは冬の季語で、白いガーゼなどで作り、風邪の感染予防や、寒さや乾燥から喉や鼻を守るために用いるとある。「マスクして人に遠ざけられてをり」との例句を信じていたのだが、この頃では、マスクをしていなかったら黴菌マンと罵る、不逞のヤカラも出ているとか。流石に七月である。マスクをすれば暑く息苦しい。そして、俯き加減に梅雨の街を散歩して来た。
振り返れば車が来ると思いけり散歩するのも猜疑のこころ

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