二人いる妹のうち15年前の冬に亡くなった妹の十七回忌が、その半年前に亡くなったその妹の主人の命日が明日と云う日曜日の今日、妹と一緒に法要が執せられることの案内に妻と行って来た。彼らが亡くなる三年前まで生きていた母などは、彼らの両親の葬儀のとき以外に家格の違いを気にして訪問したことがなく、代理に自分を押し付けたものである。その屋敷にある中庭を玻璃(はり)がらす越しに眺められる仏間には彼らの両親とその娘そして彼らと亡くなった順に黒白の遺影写真が掲げられ、仏壇の上の壁には、
「清光心」と有名な書家に揮毫を頼んだのだろう。夭折した娘を偲んだ額が掛けられている。一時間余りの法要が済み、僧侶の口から、新型コロナウイルスのため、葬儀告別式、法事が全て中止になり、寺も財政難に陥ってますとのことばを残して帰って行った。
望まれて家格の違う商家に嫁いだ妹の苦労に想いを馳せ蒸し蒸しと暑い梅雨の晴れ間のひと時を過ごした。
転がりて頭打つこと免れる何故か上がりかまちは磨かれていて

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