青々としている空を蒼穹(そうきゅう)と云う。外に出て大空を仰ぎ見たら、一点の雲もない快晴の一日になっている。初唐の詩人杜審言(としんげん)の詩に「秋高く塞馬(さいば)肥ゆ」とあり、転じて「天高く馬肥ゆる秋」となったとか。空気が澄んでいて好季節の到来を表象している。マスクを取ってみたらどうですかと、全く奇特な声が背後であった。いや、黒人差別に抗議して、マスクに犠牲者の名を書き女子テニスの全米オープンを制した大坂なおみの勇気に敬意を表しているところですよと振り返りながらマスクをはずして笑顔を返しておいた。
天高き好天に恵まれた一日であった。
笑みこぼすことの少なくなりしこと老後の日々の快晴のとき


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