大学に通学し下宿していた東京の孫も帰京して行った。新型コロナウイルスの感染の影響で来春にはだれもやって来る予定はない。妻と長女と三人だけの迎春である。松尾芭蕉に
「年忘れ三人寄りて喧嘩かな」との句がある。それでも新年を迎えるためにする所謂「春支度(はるしたく)」を整える「煤払い」「神棚、仏壇の清掃」「正月用品の買物」「松飾や注錬(しめ)飾の手配」「餅」のことなどあってづぼらをかます訳には行かず、三人三様の意見の交錯もあって行く年を惜しんでいる。「餅」のことでも母親の郷里が美濃であったので信長も秀吉も家康も絡んだ雑煮餅は絶対的にのし餅でなければの仕来たりがある。ところが大阪ではまる餅で、昨年を最後に廃業した賃搗屋の代わりをする店が見当たらず大きな愁いごとになっている。別にまる餅でもという意見もあるが、わが拘りのため、矢張り伝来の切り餅の雑煮だけは譲ることは出来ない。そんな春支度を整える今年最後の日曜日ではある。
急ぎいて咲くべき花を捨て来たり年の詰まりし大掃除する


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