7匹の仔猫達は、それぞれの猫生を歩むこととなった。
大分合同新聞のぶんぶん広場に「仔猫をもらってください」と広告を出したのは2月6日のことだった。その日のうちに約40件の問い合わせがあり、夜に3匹がもらわれていった。翌日には更に30件ほどの問い合わせがあり、3匹がもらわれていった。つまり、先着の6名様だけが仔猫の飼い主になってくれて、後はお断りをするのが大変だったってことだ。
問い合わせは、その後もポツポツと続いていたが、一匹だけはまだ当家で元気に跳ね回っている。全員、とてもカワイかったが、その子も例外でなく、とてもカワイイ。それなのに何故残っているのか?
その子は元気に歩き始めた頃からお臍がヘルニアだったのだ。そして、それは成長すると共に大きくなり、今や直径3cm位のドーム型に膨らんでいる。腸がはみ出ているのだ。軽いヘルニアならばもっと成長して腹筋が強くなれば自然に引っ込むらしいのだが、ここまで出ていると、ちょっと苦しい。避妊手術と同時に手術が必要かもしれない。
そんな理由で、その子「チョビちゃん」は、あれだけ希望者が居たにもかかわらず、何人にも抱っこされて「どうしよう?この子カワイイ。でも、どうしよう?」なんて言われたにもかかわらず、うちに居るのだ。
まあ、本人、いや本猫はヘルニアなんぞ気にせずに元気で跳ね回ったり、親と遊んだり、オッパイ飲んだりしている訳だから一番シアワセかも知れない。それで、うちの猫の名前はエルザに始まり、オリビア、マリリン、スティーブと続いたんだけど、7匹の仔猫には名前を付けていなかった。でも、そんな理由で居残ったこの子は、いつのまにか女房が「チョビちゃん」と呼ぶようになった。
ちょっと前までは「小梅ちゃん」なんて呼んでいたはずだが…。気が付けばチョビちゃんだ。(笑)
まあ、無理やり付けた名前よりも自然に出た呼び名が良いに決まっている。この子は他の子よりもチョビっと可愛くて、チョビっとお臍が出ていて、チョビっと迷われて、チョビっと手でチョッカイを出す、色々とチョビなのだ。(笑)
もらわれていった仔猫たちも、それぞれに可愛がられているだろう。そして、このチョビもシアワセの絶頂みたいだ。しかし、知らない人が来る度に仔猫が次々と居なくなり、家中をくまなく捜していたエルザとオリビアは、とても可哀相だった。3日目には、2匹とも諦めたのか、忘れたのか、このチョビだけをとても大切にしている。
もう、同じ思いをさせてはならないね。

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