昨日は山登りの予定だった。
女房はその日どうしても外せない用があって行けないというし、いつも一緒に行く義姉夫婦は当日の朝までの大雨で行かないと言うし・・。
で、ワタクシはどうしたかと言うと、前日までの天気予報の動きを観察していたから、当日は大丈夫だと踏んでいた。
朝起きてみるときっちり晴れているではないかいな。^^
一人で行ってきました。九州でも貴重な広葉樹の原生林の山、黒岳へ。
まずは日本名水百選に選ばれている男池(オイケ)の登山口からスタート。さすがに大雨の後とあって登山者の姿がない。ただ、どこかの団体さんが男池近辺の自然林の散策に来ていたくらい。
他に登山者が居ない原生林の森にたった一人で、しかも初めて入るということにちょっと不安もあったが、それ以上にやる気があることは言うまでもなし。
登山道の入口前の売店の傍で「モノノケに化かされないようにね」と気遣って出てきた?のがタヌキ。
その日、とりあえず各山への分岐点であるソババッケまで行って、アワヨクバ平治岳に登りたいと思っていた。
先日から朝まで降り続いていた雨で登山道は落ち葉に覆われていてはっきりしない。それに目印も少ないのでやや不安。

ここも一応は登山道。
最初の中継地である「かくし水」に着いて、喉を潤した。
こんなものや

こんなものが当たり前のように存在する。

原生林の森を歩くということは、「生きるとはどういうことか」を見て感じて、考えること。
一人なので、いつもより早いペースで歩いてしまうので、やや息が上がり気味でようやく着いた所が山の鞍部でくぼ地になっているソババッケだ。スタートから1時間ちょっと。
実はここでこの先に行く気は無くなっていた。素晴らしい森を充分に堪能したし、天気は時折悪くなってくるし、このまま引き返そうと思っていたら、この日初めての登山者がやってきた。
宮崎から雨の中を夜駆けでやってきたという50代の夫婦だった。
「すごい!」
好きなことはこうでなくっちゃ!
とても気さくで良い人だったので色々話していたら黒岳山頂の高塚まで登ると言う。それで後ろに付いて行っていいかと問うと「一緒に登りましょ」と快い返事をしてくれたので行くことにした。
ところが、話しながら登るのだが、速いこと速いこと。ワタシのペースより倍以上速い。まるで山伏のように岩場を登っていく。30分程、無理して付いていったがへばってきた。それを見てペースを落としてくれたのだが、それでも速い。(ワタシが遅すぎるのだが)
1時間程の山伏歩きで着いたのが風穴。深さ2メートル位の竪穴で中は幾方向にか深く続いているらしい。

同行の奥さんが撮ってくれました。
さて、ここで10分程遊んでいざ頂上へ。
しかし、ここからがとてつもなく急な登りでしかも小石がガラガラしている。しばらく登ってみたものの、これから1時間となると帰りが思いやられる。下りはいつも膝が痛くなってヨタヨタになる。
それをご夫婦に説明し、残念ながらワタシは下山することにした。頂上はガスがかかっているし雨でも降って、尚且つ、ひざ痛でヨレヨレになっては迷惑をかけてしまう。
奥深い山から一人での下山は寂しい。こんな所を登ったり
こんな所を下ったり。なだらかに見えるけど木に捕まらないと落ちてしまう位の急な下りです。
時にはこんな美しい造形も見えたりして
時にはこんな奇妙なものもあって。2本の木が重なって育ったのは良いけれど1本はシロアリの巣になってボロボロ。
ようやくソババッケまで戻ってきた。降りてきた山を振りかえる。遠く頂上が見える。いくつかの稜線を越え、あとわずかまで行ったのだけど。
また静かな森を歩く。濡れた落ち葉を踏みしめ、一つ一つの生命を確かめながら。
巨大な岩もいくつかに割れ
いつの日かこのような光景を見せるのだろう。
男池周辺にある巨石を抱いた老木。山を降りて観光客の中に混ざる時、なんとなく誇らしげな気持ちになる。
山は素晴らしい!

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