今年の5月11日に継ぎ目からポッキリ折れてしまったバンブーロッド。
その名も
Yamamura Rod 風111 ISE Special Limited
テレビの撮影中に折れてしまった。^^;
ワタシが彼の為に作ったバンブーロッド。彼のキャスティングスタイルに合わせる為に2本の試作品を作った。うららかな春の渓流で沢山の水生昆虫がハッチしていて、ヤマメのライズもあちこちで起こっていた。
彼は2本の試作品を順番に試して、「これもいいけど、こっちもいいなあ♪」なんて言いながら楽しそうにライズを狙っていた。
結局、その2本のロッドの中間の調子のロッドを作ることにした。^^
そして、そのロッドが完成した。
でも、それはまだ彼用に作った訳ではなく、もう一人の友人用に作ったロッドだった。だから、そのロッドの番号は「風110」だった。そうそう、もちろん、それまでの試作品が108と109という訳だ。
それ以来、(もう6〜7年になるけど)ワタシはずっとこの108と109とその後に作った112を愛用している。
さて、「風110」がとてもいい具合に出来上がっていたので、それと同じ仕様で彼用のロッドを作るはずだったけど、そのちょっと前に彼は思い入れのあるカーボンロッドを折っていた。フライをする人なら誰もが知っている
T’3(アイズスリー)というロッドだ。
その話しを聞いて、ワタシは彼にI’3のパーツを使ってバンブーロッドを作ることを提案した。何故ならそれらのパーツは他のロッドとは違う高級素材を使っていたから。
そのパーツというのは、イワユル、ラインを通す為のガイドのことだけど、普通はステンレスで細く軽く出来ているんだけど、I’3は真鍮製で重いのだった。
彼は二つ返事で、そうしてくれたら嬉しいと言った。
それで今までの3本のノウハウは殆ど無意味になってしまった。^^;
でも、そこはカンで生きているワタシのこと、ガイドが重くなる分はほんの少しずつ、それこそ、コンマ02ミリ位の微調整を各部で施していった。
ちなみにバンブーロッドは文字通り竹で作るのだけど、六角竿とも言われるように円形ではなくて六角形をしている。つまり正三角形に削った竹ひご状のものを6枚張り合わせて作られる。よって、先端部分は出来上がりで1ミリ位の太さだから、一つの辺は0.5ミリ前後の正三角形をしている。それに、もちろん竿だから根本から先端までずっと細くなっている。
まるで気が遠くなるような細かい作業で、信じられないけど、それなりの道具があるので、誰にでもその人の器用さにあったそれなりのロッドは出来る。(はずだ)
でもやっぱり、ちゃんとしたロッドを作れるのは限られた人だと思うけど。
さて、この辺までくると、興味のない人はうんざりしているはずだ。(笑)
彼はできあがった「風111」をとても気に入ってくれた。
伊豆の渓でも千曲でもずいぶんと良い思いをして忘れられない思い出が沢山出来たと言う話しも聞いた。ここぞという渓で、そのゆったりとしたトルクフルなしなやかさを感じながら鼻歌でも歌いながらフライフィッシングを楽しんでいたのだ。^^
そして、今年の五月。テレビの旅番組の一環で大分で釣りをした時、このロッドも持ってきていたのだった。
もうテレビ的には十分釣れた頃、もっと気持ち良く釣りたいということで我がバンブーロッドのお出ましになったのだけど・・・。
1匹も釣ることなくロッドは折れた。^^;
このロッドはこのままではいけない。絶対に!
いつか修理しようと預かっていた。そしてそれから丁度半年が来ようとしている先週のある日。ようやく修理をする気になった。
それまでは、なかなかその気になれなかった。なりゆきにまかせていた。
そして機は熟した。
3日を費やして修理は終わった。ちょっと短くなったけど、むしろこのロッドにはこれで良いのかも知れない。
昨晩、彼にメールをした。翌日からはコンサートが連続であるから、たぶん返事はないと思っていた。
なんと正やんは2分後にメールをよこした。
来春、このロッドでまた一緒に釣りをすることになるんだなあ♪
ワタシは正やんを思い、それ以上の返信はしなかった。
おっと、このままではこのブログの中で「伊勢正三」の検索にかからないので、一応こうして付け加えておきます。

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