2014/1/31

シャム王国の意匠”天人テパノン”  技巧・意匠・素材



●色絵磁器「ベンジャロン」 19c
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●シャム(タイ)渡りインド更紗 18c
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中国に製作の発注がなされた「ベンジャロン色絵磁器(※)」(上)。同じくインドに製作の発注がなされた「インド更紗」(下)。

いずれもアユタヤ王朝期(1351〜1767年)のシャム(タイ)王国で意匠化された「天人テパノン(Thepanom)」が妖艶な文様と色彩により表現されております。

当時、中国・景徳鎮の色絵磁器、インドの多色木綿染め物は他国では真似の出来ない世界最高峰の技術レベルにあり、国際都市(国家)であったアユタヤが、自身でデザイン化した意匠を、他国に製作発注することで宮廷美術工芸をつくり上げていった過程を伺うことができます。

江戸時代の日本において、このベンジャロンやシャム渡りインド更紗(シャム更紗)は茶人・大名・貴族等の富裕層を中心にもてはやされましたが、取り分けこの”天人テパノン”が描かれた作例が”仏手(ほとけで)”として珍重されたことが伝わります。

当時”仏手”と銘々されましたが、描かれているのは仏さまではなく仏法を守護する天人(天子・天女)であり、蓮華に乗り舞う姿は”飛天”と呼ぶに相応しい存在と思われます。



●京都・平等院 国宝「雲中供養菩薩像(飛天)」 11c
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●本記事内容に関する参考(推奨)文献
  

2014/1/27

シャーマンが用いる特別な織物”パー・サバイ”  染織



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製作地 ラオス・フアパン県  
製作年代(推定) 20世紀前期
民族名 タイ・ヌア族  
素材/技法 絹、木綿、天然染料 / 緯紋織、縫取織(浮文織)

仏教信仰と精霊信仰が深く結び付き、現在も信仰の篤いラオス北東部フアパン県において、村の司祭者(シャーマン)が用いるための特別な染織作品として、この”パー・サバイ”=ヒーリングクロス(治癒力を有する布)や、”シン・ピー”(精霊の宿る腰衣)が手掛けられてきました。

フアパン(サムヌア)の染織は、ラオスの染織文化の中で特別な位置付けにありますが、それは単に技術が高度であるということのみではなく、信仰と染織が伝統文化・生活の中で一体のものとして結実し、それが近年まで保たれてきた点に理由があると感じます。

本パー・サバイは20世紀前期の作例で、浮文表現の絹縫取織の色柄の力強さと完成度の高さには並々ならぬものがあります。信仰なくして生まれ得ないものを自ずと実感させてくれる作品です。


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●本記事内容に関する参考(推奨)文献
 

2014/1/25

20c初期 変わり文様 クメール絹絣・二景  染織



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製作地 カンボジア南部 コンポンチャム  
製作年代(推定) 20世紀初期
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地・緯絣

仏法を守護する”卍文”と吉祥花が繋ぎ文様として染め描かれた作品... S字を描く”双頭のナーガ(蛇龍神)”と多色の方形文が市松文様を構成する作品... モザイクのような変わり文様の表情の美しさと意匠の新鮮味に目を奪われるカンボジアの絹絣です。

絹の細糸と天然染料を素材に、ここまで細密かつ端整な文様を多彩に表現する技術は並々ならぬ高度なもの、時代を遡る古手の作例からは、唯一無二の存在感と完成美が薫ってまいります。


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●本記事内容に関する参考(推奨)文献
  



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