2014/3/28
肉眼では確認できない極細密な手仕事 技巧・意匠・素材

製作地 ラオス北部
製作年代(推定) 20世紀前期〜半ば
民族名 ヤオ族
素材 コットン地、シルク刺繍&タッセル、シルク経紋織紐、ビーズ
縦横10cmに満たない布上にコンマmm単位の縫い刺しによる装飾が施され、僅か2mm巾の経紋織の紐が付された婚礼用のお守り袋。
肉眼ではステッチや織りのディテイルは充分確認できず、ルーペで数倍に拡大してやっと糸目が浮かび上がってくるといった圧巻の手技の作品です。



2014/3/26
カンボジア ダマスク絹の多色絞り染め布 技巧・意匠・素材



製作地 カンボジア南部
製作年代(推定) 20世紀前期
素材/技法 絹(ダマスク地)、天然染料 / 巻き締め絞り
こげ茶の染め地に”赤””黄””青””緑〈黄と藍の掛け合わせ)””白”の絞り染めで表現されたカンボジアの儀礼用絹絞り、天然染色の色彩の力強さと色構成のバランスの美しさが際立つ一枚です。
絹は平地ではなく、繊細な地紋の入った”ダマスク地”が用いられており、これにより微妙に斑と色ムラ感が加わった(紋様の凹凸に色が浸透する)絞り表情にも格別の味わいがあります。
今では失われし、カンボジアの古の儀礼用絹絞り作品です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献
2014/3/14
19c英領ビルマ時代のチーク彫り装飾柱 技巧・意匠・素材

製作地 ビルマ(ミャンマー)
製作年代(推定) 19世紀
素材 チーク材
下から上へと視線が動く、目にする者の心を操るかのようなデザイン構成と、浮き彫りと透かし彫りを巧みに交えた繊細で躍動感溢れる彫り意匠が見事な約1mの装飾柱です。
寺院・僧院の装飾柱に一般的なデザインですが、本作品にはコロニアル様式を感じさせる要素もあり、或いはラングーン(現ヤンゴン)の植民地邸宅における調度品として手掛けられたものである可能性を指摘することができます。土地と時代の色香が目と鼻腔を刺激する一品です。
2014/3/10
曲がってもなお佇まいの美しい仏塔 旅の一場面

(写真 タイ・チェンラーイ県 チェンセーンにて)
2014/3/8
カンボウジュ種絹で織られた古手の絹格子布 技巧・意匠・素材



製作地 カンボジア南部
製作年代(推定) 20世紀前期
素材/技法 カンボウジュ種シルク、染料 / 平地・格子
遥か昔マレー世界との交易及び民族・宗教の関わりの中で織り始められたと考えられるカンボジアの格子織物。
現在では木綿を主素材に庶民にひろく流通する多目的布”クロマー”が良く知られますが、本来はカンボジア原産”カンボウジュ種絹”を用いた儀礼用布がベースにあったものと考えられます。
仏印(フランス領インドシナ)の意匠様式が染色の色遣いに反映されたことも伺える、コスモポリタンな空気感と色香を薫らせる染織作品です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献
2014/3/4
着用時に前後で絣柄が変わるイバン族の腰衣 技巧・意匠・素材


製作地 マレーシア・ボルネオ島 サラワク州
製作年代(推定) 20世紀前期
民族名 イバン・ダヤク族
素材/技法 木綿、天然染料 / 経絣
ボルネオ島の森の民、イバン・ダヤク族の手による木綿・経絣の腰衣。着用した際に前と後で異なる絣柄となるよう切り替えデザインで織り上げられた秀逸なアンティークの作例です。
ボルネオの森中に半野生化し栽培される“タヤ”と呼ばれる木綿を素材とした糸作りにはじまり、草木素材による染料作り、括り・染め・織りの全てを自身の手により行うモノであり、多大な労力・技巧を掛け、糸作りから完成まで数箇月の月日を要するモノとなります。
蔓枝・犀鳥・蜘蛛などボルネオの森の様々な動植物が混交した繊細な“鉤状蔓草文”は精霊信仰に基づくイバン・ダヤク族固有の意匠、作り手のインスピレーションが反映され一点一点が異なる表情を有します。他者が真似をすることの出来ない独自の精神性が薫る染織・衣装作品です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献