2015/1/31

春の華やぎ 江戸の色香  染織



クリックすると元のサイズで表示します

製作地 日本  
製作年代(推定) 19世紀中期 江戸時代末
素材/技法 木綿、天然染料及び顔料 / 手描き(若しくは手描きと型染め併用)

”竹矢”と”梅花”の大振りの華やぎ溢れる絵模様が、手描き(筒描き)若しくは手描きと型染めの併用により、国産木綿の手織り布のうえ力強い色表情で染め描かれた江戸期の和更紗裂。

当時の汎用的な和更紗とは絵柄の趣が異なり、狂言装束等の特注の染め布から取られた裂とも推察されます。ときを渡り、江戸の空気と色香に浸ることのできる一枚です。




●本記事内容に関する参考(推奨)文献
 

2015/1/27

小さな裂に宿る完成美  染織



クリックすると元のサイズで表示します

製作地 インドネシア バンカ・ブリトゥン州(旧南スマトラ州) バンカ島  
製作年代(推定) 19世紀中後期  素材/技法 絹、天然染料/緯絣

僅か13cm×18cmの小さな裂ですが、一つの織物、一つの作品としての完成美が宿っている、19c海洋交易の時代のスマトラ染織作品の色香と格調が凝縮されたような一枚です。




●本記事内容に関する参考(推奨)文献
 

2015/1/21

砂漠の街の茜染めウール・ヴェール  染織




クリックすると元のサイズで表示します


製作地 インド・ラージャスタン州 バルメール  
製作年代(推定) 20世紀初め
素材/技法 ウール、天然染料、木綿 / 絞り染め、刺繍


100年を経過してなお瑞々しさを失わない茜赤の美しさに目を奪われる、インド・ラージャスタン西部の地の婚礼用ウール・ヴェールです。

タール砂漠エリアの旧交易街道の街”バルメール”〜”シェカワティ”に伝わる意匠のもので、色彩の乏しい砂漠の地で、この茜赤の色がどれだけ華々しく映えわたったことか... 繊細で手の込んだ絞り染めと刺繍の吉祥模様がどれだけ人々の目を惹き付けたことか... そのようなことをイメージしつつ作品を目にすると、さらに鑑賞の愉しみがひろがっていくように思います。

裂け穴や補修はありますが、大切に用いられ継承された時代モノの染織作品として、欠損や繕いにも愛おしさを感じるアンティークの一枚です。



クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します




●本記事内容に関する参考(推奨)文献
 

2015/1/15

明治初期 馬の腹掛け・筒描き布  染織



クリックすると元のサイズで表示します


製作地 日本・北東北地方  
製作年代(推定) 19世紀後半 明治時代初期
素材/技法 木綿、天然染料、天然顔料、革 / 筒描き(手描き・糊防染)、漆塗り


婚礼の際に嫁ぐ娘のために特別な出費をして、紺屋(染め物屋)に特注の筒描き布(蒲団表や油単)を仕立ててもらうのと同じくらい”馬が特別な存在であった”ことを物語る、染めに気合の入った馬の腹掛け布です。

手描きの繊細かつ流麗な糊置き、天然染料と天然顔料を駆使した見事な染付け... さらに革に多色漆で彩色した胸部の護符板、職人手仕事の並々ならぬ気が伝わってまいります。

「大津東町・上下仕合」の文言は、滋賀県大津市に存する馬神神社(長等神社)が江戸時代に発した馬の悪疫除け(頽馬除け)に由来するもので、愛馬の健康・長寿を祈るおまじないとなります。

江戸〜明治初中期、馬が運輸・交通・農耕の場面で日常的に活躍していた時代の馬の腹掛け布であり、馬への祈りと感謝等の並々ならぬ想いが伝わる、古き良き日本の民間染織の逸品です。



クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します




●本記事内容に関する参考(推奨)文献
 

2015/1/13

18−19c江戸期の舶来縞織物 唐桟裂  染織



クリックすると元のサイズで表示します

製作地 インド? 不詳  
製作年代(推定) 18世紀−19世紀半ば 江戸時代中後期
素材/技法 木綿(緯)、絹(経)、天然染料 / 交織、平地・縞織


”唐桟(とうざん)”は、江戸初期の鎖国(海禁)政策の後、長崎の出島を通じてオランダ船との交易が行なわれた時代を中心に、インド及び東南アジア産の染織品(いわゆる紅毛裂)がもたらされた中、人気を博した”縞物”を指すものとなります。唐桟は遠く離れた海洋国(島)から舶来されたため”奥嶋”とも呼ばれ、それ以前の日本においては”筋”と呼ばれていた縞文様が”縞(=嶋)”と呼称替えされたきっかけでもあったことが伝わります。

藍・黄・茶・緑・紅の5色(白を含めると6色)の経縞で構成される本唐残裂は、インド産或いはそれ以外の南アジア・東南アジア産であるか出自の特定は難しいところですが、極めて繊細な手紡ぎの木綿と絹により目の詰んだ織りがなされた”薄物”の交織縞で、当時日本の国産で生み出されていた縞木綿とは明らかに異なる表情・質感を有するものとなります。

一見すると布に微光沢があり絹地の縞とも思われますが、実際には緯(よこいと)に細手の絹、色糸の経(たていと)に木綿が配され、経地合に近い密な織りがなされることにより、ほんのり光沢感を纏った織物の特性が生み出されている様子を確認することができます。糸・布の表情から時代の浪漫を感じることができる舶来縞織物の逸品です。


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します




●本記事内容に関する参考(推奨)文献

2015/1/7

江戸時代 ”浮世絵・花見遊楽図”木綿友禅  染織



クリックすると元のサイズで表示します

製作地 日本 京都若しくは加賀  
製作年代(推定) 18世紀後期 江戸時代中後期
素材/技法 木綿、天然顔料、天然染料 / 手描き、友禅染め


新春をお祝いしての特別掲載品です。

本品は江戸中後期の手描き友禅としての小袖の解き布で、庶民文化の成熟期を迎えたこの時代に人気の高まった”浮世絵”が、同じくこの時代に新しい絵画的多色表現の染付け着物として台頭した”友禅”と結び付いたもの、花木・風景・風俗・美人画の複数の要素が一体となり描き込まれている点が特徴で、この種の精緻でありながら自由闊達な手描き模様は一世を風靡しました。

手紡ぎ・手織りの質感豊かな木綿地をベースに、糸目糊と墨描きによる精緻かつ流麗な描線、当時の上質な天然顔料・染料を巧みに併用した多彩な染め色、繊細な色挿しによる濃淡と暈かし表現により絵付けがなされており、意匠の凝らされた着物を纏う女性たちと童子の人物表現、浅縹の染めを背景に布面いっぱいに晴れ晴れと描き込まれた満開の桜樹、小道具の花見重や子犬まで、全景及び細部、画面の隅々に至るまで見応え溢れる作品に仕上げられております。



クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


本品は絹地ではなく木綿地に染め描かれた木綿友禅であり、植物繊維ゆえに染め(発色・定着)の困難な木綿に対して、ここまで多彩で鮮やかな染付けがなされている点は特筆すべきこと、
”友禅染め”であるとともに、舶来のインド更紗に倣い木綿染色に手技を尽くした江戸中後期”和更紗”の一作例としても、極めて興味深い作品と考察することができます。

幕末から明治に入ると、合成(化学)顔料・染料の使用が一般化し、友禅染めの色表情や意匠がかもす空気感は異なるものへと変わっていきます。

江戸中後期庶民文化の華やぎ、技巧面と意匠面双方で高度に成熟した絵画表現と染色表現、絵師及び染め師の技術の粋、それらが結実した作品であり、滋味掬すべき逸品です。




●本記事内容に関する参考(推奨)文献

2015/1/5

18−19c茜地蓮華文インド更紗(交易印付)  染織



クリックすると元のサイズで表示します

製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア 
製作年代(推定) 18c後期〜19c前期
渡来地・使用地 インドネシア
素材/技法 木綿、天然染料 / 木版捺染、媒染

発色の美しさが際立つ茜媒染の濃厚な赤木綿地(紡ぎ触感の強い鬼手の木綿地)に、仏教及びヒンドゥに縁の吉祥花である”蓮華”が唐草(流水)風の蔓蕾文を伴い染め抜きで描かれた木版インド更紗、布巾全形が整い、ボーダー柄が入った貴重な大判裂です。

本布は裏に旗と丸文で構成される押印がなされており、主にオランダ領時代のインドネシア交易用のものとしてこの種の”交易印”が押された時代のものであることを伺うことができます。

印影が不鮮明であり、オランダ東インド会社(Vereenigde Oostindische Compagnie)の”V・O・C”印と特定するには至りませんが、同デザインのスラウェシ(トラジャ)渡りのインド更紗にV・O・C印が押印されたものがあり、本布も18世紀後期〜19世紀前期の間にオランダ系の交易船によりインドネシアにもたらされたもの、そのような推理・推察が成り立つように思います。

200年の時を経て色褪せず、今に生命を輝かせる赤の美しさは圧巻、日本の江戸中後期、海洋交易の時代の様々な文物に想いを馳せることができる、浪漫溢れるインド更紗の時代裂です。


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します



   ●参考画像
クリックすると元のサイズで表示します

   ※上画像は平凡社刊「別冊太陽 更紗」より転載いたしております




●本記事内容に関する参考(推奨)文献
  

2015/1/3

力強き筒描きの意匠  染織



クリックすると元のサイズで表示します

製作地 日本  
製作年代(推定) 明治時代中後期 ※蒲団表から暖簾への作り替えは後年
素材/技法 木綿、天然藍 / 筒描き(手描き・糊防染)

一目で、職人が技と誇りに掛けて生み出したもの、吉祥の祈りとともに用いられたもの... 
布・絵柄・色が一体となり、手仕事の染織の本質がしっかりと伝わってくるような作品です。

”デザイン”ではなく、”意匠”という言葉が似合う、日本の古き良き伝統染織の逸品です。


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します





●本記事内容に関する参考(推奨)文献
  



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ