2015/11/22

江戸末〜明治期 ”科布(しなふ)”大袋  染織



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製作地 日本 東北地方  
製作年代(推定) 19世紀後期 江戸時代末〜明治時代
素材/技法 科、天然藍、大麻(縁布及び充て布の一部)、木綿(紐と充て布の一部) / 平織、接ぎ合わせ
サイズ 横幅:約1m、縦:約85cm

科布(しなふ)は”シナノキ”の樹皮(内皮)から得られる靭皮繊維を糸とし織り上げるもので、藤布や葛布などとともに千数百年を遡る古代より、衣料や生活の調度品のための織物として用いられてきたことが古文書等の記録から確認することができます。

皮剥ぎ・灰汁炊き・醗酵・洗い・乾燥・裂き績み・撚り巻き等、多数の工程を経て一年掛かりで完成に至る手間隙の掛かる糸作り(及び織り布)となりますが、科布には丈夫さと水に強い特性があり、衣類や貯蔵袋のほか、漉し袋や魚網など様々な用途に利用され、地方農村部での貴重な換金物品として、中近世・近代に至るまで細々とながら生産が継承されてきました。

本品は科の撚り糸を経・緯に織られた30数cm巾の布の接ぎ合わせにより仕立てられた、幅1mサイズの大袋で、サイズ・仕様及び口部に簡素な仕立ての結い紐が付されていることから、何らかの生活物資の貯蔵用の袋として用いられたことが推察できるところとなります。

繊細な績み・撚りのしな糸で織られた布は適度な張りと柔らか味(伸縮性)があり、生の色(黄茶)のうえから染められた藍の色が程よく残るすがた、口縁補強・結い紐・充て布に用いられた味わいある古裂たち、経年・使用が纏わせた折々のものをあわせて、得も言われぬ表情の豊かさと今も失われない生命の息づきが感じられます。

実用の貯蔵袋という性格上、本品のように状態が保たれて残ったものは数が少なく、日本固有の自然布染織資料として、また古民具資料としても貴重なものと言うことができます。



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●科布 糸・組織の拡大画像 繊維自然色に藍染め
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●縁布に用いられた縞の大麻布(同時代作)
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●結い紐に用いられた縞絣の木綿布(同時代作)
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