2021/11/25

琉球王国 19c 木綿”花色地水鳥花枝模様”紅型裂  染織




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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀後期 琉球王朝期
素材/技法 木綿、天然顔料 / 型染、糊防染、片面染め
サイズ 横幅(緯)34cm、縦(経)28cm

19世紀後期の琉球王朝期に手掛けられた、木綿”花色地水鳥花枝模様”紅型裂。

”花色地(ハナイルジー)”と呼称される地色染めのもの、これは朱で下地を染め、動物染料の臙脂を上掛けし色彩を生み出すもので、外来の色料が主素材とされた海洋交易時代・琉球染色の特徴が良く顕われた作例と言えます。

和らぎある薄桃色の地色のうえに様々なモチーフが彩豊かに散りばめられておりますが、モチーフの多くが縦横斜めの別なくランダムに配されている中、臙脂で色づけされた”水鳥”のみ方向が定められており、これが模様全体に絶妙なアクセントとリズムを生み出していることが判ります。

淡い花色地で主模様をもたずに小モチーフが散りばめられたこの種の紅型は、色の濃い紺地花織衣裳等の裏地とされたものが複数確認されており、本布も衣裳全体の完成図を想定して製作されたものの可能性を指摘することができます。

目にしていると気持ちが和み心癒されるような独特の空気感と色香を薫らせる一枚であり、作品が有する固有の世界観に惹き込まれます。


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(参考画像)
紺地花織絣衣裳の裏地に花色地紅型が用いられた作例
19世紀 日本民藝館所蔵品
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※上画像はサントリー美術館刊「紅型 琉球王朝のいろとかたち」より転載いたしております

2021/11/22

19世紀後期 木綿”井桁模様”型染併用経緯絣裂  染織




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製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀後期 江戸時代末〜明治時代
素材/技法 木綿、天然染料 / 経緯絣、型染(灰色の片面染め ※濃藍に見える部分)
サイズ 幅(緯)32.5cm、長さ(経)33cm

経緯絣により上下左右に井桁模様が藍・白交互の連続文様として織り描かれ、織りの片面から型染によりモザイク様の模様が重ね染めされた19世紀後期作の木綿染織。

本布は”絣(織り)”と”型染(染め)”のふたつの技法が併用された特殊な作例で、布裏を目にすると経緯絣のみでも充分に井桁模様が判別できるにも関わらず、敢えて片面(布表)から模様の形状・輪郭をより明瞭にするために型染が施されたものとなります。

経緯絣と染めが併用された染織としては、17−18世紀にインドから舶載された古渡りインド更紗中の”格天井手(ごうてんじょうで)”の存在が知られますが、本布はそれに着想を得て製作された可能性を指摘することができます。

繊細な紡ぎ糸を素材に、井桁ひとつが1.5cm角の小ぶりかつ細密なディテイルを有する模様として端整に表されており、裂地からは”茶の湯好み”の風雅が匂い立ちます。

30数cm四方の小裂ですが、サイズを超えるスケール感と格調の高さが感じられる一枚です。


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(光学顕微鏡による画像)
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2021/11/19

江戸時代後期 右肩上がり吉祥模様・型染裂  染織




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製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀初期 江戸時代後期
素材/技法 木綿、天然染料、天然顔料 / 型染、片面染め
サイズ 幅(緯)32cm、長さ(経)175cm

鶴亀の丸紋と松竹梅及び唐草で構成される吉祥模様が多色遣いで緻密かつ躍動感豊かに染め描かれた、今から2百年を遡る19世紀初期作の木綿型染布。

本記事の最下掲載の「参考画像」のように、布を横並びに接ぎ合せると唐草の細部が繋がり、模様は右肩上がりに途切れることなく続くよう巧みに構成されており、デザイン・モチーフに込められた”繁栄の祈り”がより具体的に伝わってまいります。

特筆すべきは唐草模様の細部の手の込み方と白の輪郭を伴った色付けの明瞭さで、通常型染の唐草は総じて抽象化が進んでおりますが、本作品は手描き(筒描)で表される模様に相似するほど繊細さと力強さが際立っております。

当時としては特別上質な木綿糸が用いられていることを併せ、本型染布が武家・貴族等の上流階級向けに手掛けられたものであることは明らか、幕末前の充実した江戸期染織に固有の密度の濃い精神性と色香、染め職人の技巧の粋と”いき”が随所から感じ取れる一枚です。


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(光学顕微鏡による画像)
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(参考画像)
本布が横並びに接ぎ合された際のイメージ図
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2021/11/16

室町時代 銅造”薬師如来”懸仏(御正体)  仏神像




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製作地 日本 ※地域不詳 
製作年代(推定) 14−15世紀 室町時代
素材/技法 銅製 / 鋳造、線刻
サイズ 高さ5.5cm、幅4.3cm、奥行(背側突起部含む)約2cm、重さ44g / パネル台(発砲ボード・ABS樹脂) 高さ16cm、幅11cm、奥行(台底部)4cm、パネル厚み5mm

14−15世紀の室町時代に手掛けられた銅造懸仏(御正体)。

肌の荒れ具合から火災の熱を受けた火中仏と推察され、形状が判然としない左手は熱で熔解したものと思われますが、掌に持物(薬壺)の痕跡が残り”薬師如来”と判断されます。

螺髪が省略され帽子のような形状で表された肉髻、身体に着いたまま屈臂し掌を立てるように表現された施無畏印、浅い毛彫りで刻まれた衣文と蓮弁、これらの特徴は懸仏の製作が地方に広まる過程で形式化が進んだものと捉えることができます。

質朴な像容ながら神仏習合を背景とする信仰の精神性、御正体としての神秘性が実感される作品であり、古銅の深みある色合いをあわせ像から発せられる厳かな空気感に惹き込まれます。


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2021/11/13

江戸時代中期 木造”阿弥陀如来”化仏  仏神像




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製作地 日本 ※地域不詳 
製作年代(推定) 18世紀 江戸時代中期
素材 木製、漆塗り、金彩、鉄釘(和釘)
サイズ 高さ7.8cm、幅4.5cm、奥行2.7cm、重さ14g / パネル台(発砲ボード・ABS樹脂) 高さ16cm、幅11cm、奥行(台底部)4cm、パネル厚み5mm

高さ約8cm、江戸時代中期の木造金彩”阿弥陀如来”化仏(けぶつ)。サイズと彫りの繊細さから、大ぶりかつ端整なつくりの寺院本尊の光背に配されていたと推察される作品です。

実際に使われていたオリジナルの鉄釘(和釘)が一緒に伝わっており、破損無く金彩が残る状態の良さから、本尊から外されたのちに大切に保管・継承されてきたものと思われます。

江戸時代中期に遡る木造仏は、火災を中心とする災禍及び明治初期の廃仏毀釈さらには昭和の戦時下に多くが失われており、当時の姿が保たれ残存するものは特別稀と言うことができます。

静謐な坐姿で阿弥陀定印を結び、目にする角度や光の加減で変化する表情は慈愛に満ち、本体像に付属する光背化仏ながら単独の仏像としての完成美が宿ります。


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2021/11/10

スワート 2−5c 雲母片岩・仏伝図パレット  仏神像




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製作地・出土地 パキスタン マラカンド地区 スワート Swat
製作年代(推定) 2−5世紀
種類 仏伝図 パレット(化粧皿)
素材 雲母片岩
サイズ 直径約13cm、奥行約1.5cm、重さ369g / スタンド(木製) 横幅8cm、高さ7cm、奥行8cm

”化粧皿(パレット)”の呼称で知られる、パキスタン・スワート出土の円盤状の雲母片岩彫刻像。

ヘレニズム色の薄い古拙な彫り意匠が印象的な作品で、北方山岳部スワート地方ガンダーラ彫刻の特徴に符号するものとなります。

三尊形式の像容ですが、脇侍の姿から梵天勧請の仏伝図が表されたものと考察されます。

スワートでは仏陀が人の姿で表現される以前の初期仏教美術の作例も出土しており、ギリシャ・ローマの影響を受ける前に遡る”プレ・ガンダーラ時代”に仏教彫刻製作の萌芽があるとともに、ガンダーラ地方とは異なる独自の盛衰の歴史があるとする研究・学説が存在します。

スワート仏教美術固有の長閑やかさとあたたかみを有する彫刻表情に惹き込まれる一品です。


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2021/11/7

江戸時代中期 雲母(きら)装飾”小花模様”和更紗裂  染織




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製作地 日本 ※地域不詳 京都若しくは堺?
製作年代(推定) 18世紀 江戸時代中期
素材/技法 木綿、天然顔料、雲母(きら) / 型染、片面染め、雲母装飾は捺染?
サイズ 幅(緯)17cm×長さ(経)17cm

茶道具の裂地として伝世した江戸時代中期作の小ぶりな和更紗裂。

ふくよかな質感の鬼手の木綿地に、梅と思われる花と三叉状の枝葉のモチーフが黒の輪郭線を伴って小気味よく染め描かれたもの、インド更紗写しが強く意識された初期和更紗に位置づけられる作品です。

本布の最大の特色は、花・枝葉模様の個々に精密に描き塗られたラメ状の顔料で、肉眼やルーペでは顔料の材質を特定するには至りませんが、顕微鏡でこれを見ると光を反射するごく小さな薄片が透明感のある物質に包まれている様子が確認でき、形状・性質から”雲母(きら)”を膠(にかわ)で定着させたものとほぼ特定できます。

木綿地への雲母装飾はインド更紗に見られる技巧(雲母更紗)で、これが日本にも舶来したことによる影響と考察されますが、紙への雲母装飾”雲母引(きらびき)”は平安時代に遡る日本の伝統技術であり、本更紗の製作と同時代には浮世絵の装飾にも利用されていたものとなります。

雲母装飾がなされた和更紗は本来的に類例が限られる特殊なものと思われます。状態の良さを伴って残存した本裂は資料的に貴重であり、見映えの美しさを併せ魅力の尽きない一枚です。


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2021/11/4

琉球王国 19c初 木綿”萌黄地草花散し模様”紅型裂  染織




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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀初期 琉球王朝期
素材/技法 木綿、天然顔料 / 型染、糊防染、片面染め
サイズ 横幅(緯)34cm、縦(経)38cm

水色(空色)に黄色の顔料が重ね染めされた、瑞々しさとともに固有の和らぎ感を薫らせる”萌黄”の色味が印象的な、200余年を遡る19世紀初期の紅型裂。

萌黄の地色の中に”牡丹・梅・撫子・松・笹・楓”の草花模様が端整に染め描かれており、華やかながら落ち着きあるひとつひとつの色を併せ、”琉球王朝期紅型”たる気品と格調の高さを備えます。

取り分け、白抜きされ朱赤の線描で表現された”牡丹”の模様が絶妙なコントラストとリズム感を生んでおり、製作時の布巾が保たれている点を含めて、裂には完成美が宿っております。

稀少な色柄様式の王朝期紅型、唯一無二の表情・生命を有するかくも美しき古染織が、幾多の時代の荒波をかいくぐり、失われずにいまここに存在することに感謝をしたくなります。


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2021/11/1

18c トラジャ向け”円花&生命樹模様”インド更紗  染織




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製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア Coromandel coast  
製作年代(推定) 18世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スラウェシ島トラジャ
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き、木版捺染(ボーダー模様の一部)、媒染、描き染め(藍)、片面染め
サイズ 横幅228cm(2枚接ぎ)、縦248cm

縦横2mを超える大判の木綿地に無数の花々と樹木模様が高い密度で染め描かれた、圧巻の存在感と力強い生命感を呈する18世紀トラジャ向けのインド更紗完品。

花樹(生命樹)が主模様となる”パランポア(palampore)”様式の大判インド更紗は、ヨーロッパでベッドカバーやカーテン等の室内装飾用布としてもてはやされたもので、本布のボーダーに描かれたリボン柄リム模様は、ヨーロッパ向けの亜種としてトラジャ向けが製作された歴史的背景を示すものとなります。

パランポア様式の大判インド更紗は、トラジャにおいては野外での祭礼時に幕・幟として掲げられ王族・貴族階級のステータスが示されるとともに、天界と地上界を繋ぎ精霊が行き来する道をつくる(生命樹はその象徴模様)役割を担ったものと考察されます。

同時代作のヨーロッパ向けに比較するとモチーフ個々と細部の描き方は総じてラフですが、カラムカリの筆致は躍動感に溢れ、高度な媒染技術による赤濃淡・黒・紫の茜染めの染め分けは見事で色味は濃厚、野外で遠くから目にした際にデザインと色柄のコントラストがはっきりと判るような意匠上の工夫がなされている様子が伺えます。

布地がほんのり黄味掛かって見えるのは、余白を埋め尽くすように薄黄茶色線描の地模様がカラムカリにより加えられているためで、葉や蕾を染める淡藍の描き染めとともに絵柄全体の表情を引き締め、作品の完成度を高めております。

18世紀、200余年〜300年を遡る大航海時代に交易布としてスラウェシ島トラジャにもたらされ、”聖布マア”として大切に扱われ代々継承される中で布全形と色彩が保たれたもの、作品自体の魅力とともに、渡来と伝世の由来をあわせた布に纏わる物語と浪漫性に深く惹き込まれます。


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