2018/2/11
19c末〜20c初 チャム 儀礼用・絹絣腰衣”チョンクバン” 染織


製作地 カンボジア南東部 コンポンチャム Kampong Cham
製作年代(推定) 19世紀末〜20世紀初期
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地、緯絣
サイズ 縦(緯)92cm×横幅(経)276cm
カンボジア南東部の“コンポンチャム”で手掛けられた、100〜120年前後を遡る時代の貴重な儀礼用腰衣”チョンクバン”としての絹絣、色彩の美しさが何とも印象的な一枚です。
プロフー(福木)の”黄”と藍の”青”の掛け合わせで作られた”緑色”が基調色となり、ラック染めのやや紅掛かった赤と山吹により菱文様・幾何学文様が端整に描かれたもので、色柄の意匠全体から古手の”チャム系儀礼用絹絣”特有の気品と色香が感じられる作品です。
地の緑色はラック染め紅赤の経糸が交わることで”オリーブ色”に近い色味として目に映りますが、緑と赤の交色は玉虫効果が生じることも相俟って、太陽光の下と灯りの下、つまり昼と夜とでは色柄の雰囲気が異なって見える独特の妖艶な表情を有します。
長さ2m80cmの”サンポット・ホール・チョンクバン”で、サイズ面と色柄表情から、チャム富裕層の女性が祝祭時の盛装用として身に着けたものではないかと推察しますが、所謂クメール系(仏教系)の荘厳さを備えた儀礼用絣とは趣が異なり、目にすればするほど妖艶さと色香に惹き込まれ、浮遊感に浸れるようなアンティーク・チャム染織の逸品です。








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