2021/4/4

日本・東北 19c後 木綿”唐草&鱗模様”筒描馬掛け布  染織




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製作地 日本・東北地方
製作年代(推定) 19世紀後期 明治時代
素材/技法 木綿、天然染料、天然顔料 / 筒描、摺り込み
サイズ 横幅(上辺)178cm・(下辺)89cm、縦52cm

東北地方は南部(青森・岩手)の“南部駒”、最上(山形)の”小国駒”を筆頭に名馬の産地を数多擁するとともに、古来より馬に纏わる習俗・伝承が豊富で、農耕馬・荷役馬への愛情深く、オシラサマなど馬への信仰が篤かった土地柄となります。

この馬掛け布は婚礼時や祝祭時に馬を所有する商家や富裕農家が紺屋への特別な発注で仕立てる伝統を有したもの、本品は手紡ぎ・手織りの木綿を台布に手描き・手染めの“筒描”の技法により意匠付けがなされた作品で、渦巻き状の”唐草”と小さな三角形が連なる”鱗”の吉祥・守護模様が、”源氏車”の家紋と”檪木”の家名及び”踏馬御免”の常套句とともに多彩かつ力強い意匠で染め表されております。

取り分け流麗で生き生きとした生命感を薫らせる”唐草模様”と藍濃淡を加えると5色で染め表された”鱗模様”のコンビネーションが秀逸で、描き線と染め色の随所から江戸職人直系の卓越した仕事ぶりを感じることができます。

明治期の未だ馬が農耕の場面で日常的に活躍していた時代の馬掛け布であり、馬に対する並々ならぬ想いが伝わる、古き良き日本の地方染織の逸品です。



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2021/4/1

琉球王国 19c 木綿”白地稲妻に短冊菊楓模様”紅型裂  染織




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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀前期〜半ば
素材/技法 木綿、天然顔料 / 型染、糊防染、片面染め
サイズ 横幅(緯)39cm、長さ(経)48cm

稲妻模様の中に多彩かつ緻密な絵柄構成の”短冊”と大輪の”菊”及び”楓”が散りばめられた、見応え溢れる琉球王朝期の紅型裂です。

中手模様の型紙を用い稲妻模様が滑らかに繋がるよう巧みに染め描かれており、華やかながらも落ち着きのある天然顔料の色味にも王朝期古紅型ならではの格調の高さが感じられます。

特筆すべきは、横幅(緯)39cm×長さ(経)48cmの大判裂で両耳が整い、糸・布・色彩の状態も極めて良好である点で、現在では早々見出し難い資料的に貴重な一枚と言うことができます。



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2021/3/1

いつかの旅  旅の一場面



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(写真 インドネシア・スラウェシ島 ママサ・トラジャにて)

2021/2/27

インド 18c スマトラ向け”茜描き染め格子模様”インド更紗裂  染織



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製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア Coromandel coast
製作年代(推定) 18世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スマトラ島
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き(カラムカリ)、媒染、片面染め
サイズ 27.5cm×21.5cm

細太の糸を交えた手紡ぎ木綿の触感がある”鬼手(おにで)”木綿地に、カラムカリ(手描き)の技法により細密な格子模様が染め描かれた、18cインドネシア・スマトラ渡りのインド更紗裂。

下に掲載の参考画像の作品のような、上下に鋸歯文様を配したスンバギ様式のインド更紗の本体柄及びサイドボーダー柄であったと考察される部分裂で、縦横ともに明礬媒染(=赤に発色する)の線を約2mm間隔の二重線(二筋縞)で描き上げ、その間に明礬+鉄漿媒染(=紫に発色する)を塗り、茜染料に浸染することで、二色遣いの格子模様を表現したものとなります。

一見するとラフな染めとも思えますが、全形では横幅1m前後・縦2m前後の長さの布上に手描きの二重線をむらなく引き、さらに二重線内の1.5mm程度の隙間(無数の隙間)に点々と紫に染める部分の媒染液を筆(カラム)で置いていくことで細部に破綻の無い模様を完成させており、並々ならぬ手技と根気が加えられた染め布と言うことができます。

和名をあてると「白地細格子花唐草模様」となる一枚で、インドネシア渡りですが、日本渡りであっても違和感の無い、明らかに数寄者好みの意匠のもので、質感ある手触りの鬼手木綿と、緻密でありながら枯淡な雰囲気を湛える手描き格子模様に得も言われぬ滋味が薫ってまいります。

縦横の直線で構成される単純模様でありながら出来上がりの表情は硬く神経質な雰囲気とはならず、大らかで柔らか味や伸びやかさがある、古渡り期インド更紗の実力を感じる一枚です。



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●参考画像 手描きで格子状模様が描かれた近似する意匠のインド更紗
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※上画像は京都書院刊「知られざるインド更紗」より転載いたしております





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2021/2/25

いつかの旅  旅の一場面



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(写真 インド・タミルナードゥ州 コロマンデル海岸にて)

2021/2/23

日本 19c後〜20c初 木綿”牡丹&散し楓模様”筒描掛け布  染織




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製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀後期−20世紀初め 明治時代
素材/技法 木綿、天然染料、顔料 / 表:筒描(防染)、描き染め(彩色)、裏:紫根染め
サイズ 横76cm、縦100cm

日本で19世紀後期〜20世紀初めの明治時代に手掛けられた、木綿”牡丹&散し楓模様”筒描掛け布。

2+半巾の小ぶりの筒描き布で、下隅に配されたフリンジから油箪等の掛け布とされたと推察されますが、紫根染め(病除け)の裏地から赤ちゃん・幼児用の布とされた可能性も考えられます。

いずれにせよ、日常とは異なるハレのものとして紺屋への特別な発注で製作されたことは間違いなく、筒描&描き染めの意匠は細部にまで神経が通い、紫根染め裏地をあわせ、固有の華やぎと格調の高さを纏った作品となっております。

時代は明治に下ると思われますが、江戸職人直系の仕事ぶりが、線描きの”一線一線”、重ね染めや暈しを駆使した染めの”一色一色”、さらには手紡ぎ木綿や縫いの”一糸一糸”から感じ取ることができ、職人の意気・誇りに打たれ、背筋が伸びる思いがする一枚です。



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2021/2/21

いつかの旅  旅の一場面



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(写真 ウズベキスタン・ホラズム州 ヒヴァにて)

2021/2/19

インド 18c シャム向け”円花&瓔珞模様”インド更紗裂  染織




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製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア
製作年代(推定) 18世紀
渡来地・使用地 シャム王国 アユタヤ王朝期
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き(カラムカリ)、媒染、防染、片面染め
サイズ 横25.5cm、縦124cm

インドで手掛けられ、アユタヤ王朝期18世紀のシャム王国(タイ)にもたらされた”円花&瓔珞模様”インド更紗裂。

本布は、本体部に大ぶりの”円花模様”と”火焔状模様”、エンドボーダーに多層の”瓔珞模様”が表されたもので、部分裂ながら124cmの長さがあり、完品では横幅1m・長さ3mに達する大判の仏教儀礼用の腰衣”パー・ヌン(pha nung)”であったと考察される一枚です。

何と言っても9層におよぶ”瓔珞模様”の存在感が際立っており、茜赤と黒(焦茶)の深く鮮やかな色味が印象的な”円花&火焔状模様”とあわせ、インド・コロマンデルへの特注品である宮廷様式シャム更紗ならではの格調の高さと荘厳美が濃密に薫ってまいります。

そして特筆すべきは、大小すべてのモチーフが総手描きの”カラムカリ”で染め表されている点で、流麗で躍動感のある毛抜き状の線描きが見事、円花模様のひとつひとつ、瓔珞の部分部分の表情が異なっており、モチーフには硬さが無く細部にまで美の生命が宿っております。

糸・布・染料、職人の染色技術、作品の背景にある精神性、そのすべてが今では失われし再現することの出来ないもの、土地と時代が育んだ木綿染色の孤高の名品裂です。



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2021/2/17

いつかの旅  旅の一場面



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(写真 インド・ラージャスタン州 タール砂漠エリアにて)

2021/2/15

琉球王国 19c 苧麻”白地小花貝模様”紅型裂  染織



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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀
素材/技法 苧麻、天然顔料 / 型染、糊防染、両面染め
サイズ 横13.5cm、縦9.5cm

琉球王国(現日本国・沖縄県)で19世紀に手掛けられた、苧麻”白地小花貝模様”紅型裂。

サントリー美術館発行「紅型 琉球王朝のいろとかたち」に本品と同手型紙で作られた苧麻地衣裳の掲載があり、解説文に「絣織りの地に型染めした珍しい紅型衣裳」との記載があります。

小さな裂ですが、貝・貝藻・小花等の緻密な絵柄のモチーフが多彩に染め描かれた可憐な苧麻地紅型で、画像からも絣による地模様(濃淡の線模様)を確認することができます。

上質な苧麻の糸遣いと手の込んだ多色両面染めの王侯貴族衣裳用の裂で、貴重な一枚です。



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     ●参考画像
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同手型紙が用いられ色遣いも近似する苧麻地紅型の衣裳
東京国立博物館収蔵
※上画像はサントリー美術館発行「紅型 琉球王朝のいろとかたち」より転載いたしております




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2021/2/13

日本・東北 19c後〜20c初 木綿”波に兎模様”筒描馬掛け布  染織




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製作地 日本・東北地方
製作年代(推定) 19世紀後期−20世紀初頭 江戸時代末〜明治時代
素材/技法 木綿、天然染料、顔料 / 筒描、摺り込み
サイズ 幅35cm、長さ202cm

日本の東北地方で19世紀後期〜20世紀初頭の江戸時代末から明治時代に手掛けられた、木綿”波に兎模様”筒描馬掛け布。

東北地方は南部(青森・岩手)の“南部駒”、最上(山形)の”小国駒”を筆頭に名馬の産地を数多擁するとともに、古来より馬に纏わる習俗・伝承が豊富で、農耕馬・荷役馬への愛情深く、オシラサマなど馬への信仰が篤かった土地柄となります。

この馬掛け布は婚礼時や祝祭時に馬を所有する商家や富裕農家が紺屋への特別な発注で仕立てる伝統を有したもの、本品は手紡ぎ・手織りの木綿を台布に手描き・手染めの“筒描”の技法により意匠付けがなされた作品で、豊穣・飛躍を象徴する”波に兎”の吉祥模様 が、”鷹の羽紋”の家紋及び”踏馬御免”の常套句とともに躍動感溢れる姿で染め表されております。

“馬掛け布”は装飾する部位により形状・サイズが異なりますが、幅35cm・長さ202cmの一枚布で中央付近に紐を通すための一対の乳(ち)が付され中央に家紋が配された本布は、腰・尻部に掛けて使用されたものと推察されます。

ふっくらした体躯で紅花染めと思われる和らぎある桜色でほんのりと色づけされた兎の姿が何とも可憐で愛らしく、波模様を交えた明瞭で生き生きとした意匠表情に目と心を奪われる一枚です。




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2021/2/11

いつかの旅  旅の一場面



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(写真 ミャンマー・マンダレー地方域 アマラプラにて)

2021/2/7

いつかの旅  旅の一場面



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(写真 インドネシア・スラウェシ島 タナ・トラジャにて)

2021/2/5

日本 17−18c ”インド更紗写し”和更紗裂(包裂)  染織



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製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 17世紀後期−18世紀前期 江戸時代初中期 ※木札は後年付されたもの
素材/技法 木綿(国産木綿)、天然顔料(弁柄) / 型染、摺り込み
サイズ 約24cm×約26cm

17世紀後期〜18世紀前期の日本で手掛けられた和更紗裂。

一見すると古渡りの”鬼手木綿・茜染めインド更紗”と見紛うばかりの表情と雰囲気を纏っており、実際に茶の湯の包裂として用いられたことを鑑みると、当初から”インド更紗写し”に意味をもたせて製作・使用されたことが想像される江戸時代初中期の作品です。

古渡りインド更紗のデザインが元となる”六宝繋ぎ花模様”の小紋柄を、同じくインド更紗の茜染めを模した”弁柄(べんがら)”による色づけで再現したもので、当時の国産木綿手紡ぎ糸の粗い風合いがインドから舶載された”鬼手木綿”と相似することをあわせ、茶人等の数寄者がこの種の技術的に未完ながらも枯淡な味わいのある和製更紗を好んだものとも推察できます。

付された木札には”古信楽輪蓋置(わのふたおき)”と記されており、筒型の焼き物を長年包んできたことによるものか、布にはかなりのたわみ・ゆがみが加わっております。

経年・使用による褐色や変形、さらには傷さえもこの包裂の味わいを高めているようにも感じられ、本布を通して様々な視点から時代染織の魅力を再発見できるように思われます。

インド更紗を志向した国産木綿遣い初期和更紗、時代の浪漫に惹き込まれる一枚です。


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     ●参考画像
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     古渡りインド更紗 浅黄華六方(六宝繋ぎ花模様)
     更紗手鑑「古雅佐羅紗帖」収蔵
      ※上画像は平凡社刊「別冊太陽 更紗」より転載いたしております





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2021/2/3

琉球王国 19c 木綿”浅地雲に雁若松楓流水模様”紅型裂  染織




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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀前期〜半ば
素材/技法 木綿、天然顔料 / 型染、糊防染、片面染め
サイズ 横12cm、縦42.5cm

19世紀前期〜半ば、今から180〜200年前の琉球王国で手掛けられた木綿”浅地雲に雁若松楓流水模様”紅型裂。

大模様・大柄型紙が使用され十色を数える多彩ないろで染められたパノラマ的な絵図が印象的な作品で、本裂は王候貴族階級の衣裳の衿であったと考察されます。

本裂の横12cmは実際の染め巾の半分弱ですが、縦42.5cmはほぼ全形に近い長さが保たれており、モチーフの入り方のバランスに優れ、いろ・かたちの良さをあわせ鑑賞裂として十分な見応えと完成美が感じられるところとなります。

本品と同手型紙で作られた苧麻地衣裳が東京国立博物館に収蔵されており、また同種模様衣裳が中国に献上され北京故宮博物院に収蔵されている旨を文献(サントリー美術館発行「紅型 琉球王朝のいろとかたち」・京都書院刊「琉球紅型」)で確認できます。


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       ●参考画像
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苧麻地「浅地雲に雁若松楓流水模様」紅型衣裳(部分)
東京国立博物館収蔵
※上画像は京都書院発行「琉球紅型」より転載いたしております




●本記事内容に関する参考(推奨)文献
 



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