2022/4/28

17c 江戸時代初期渡り インド朱赤地花卉文様”モール”裂  染織




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製作地 インド
渡来地・使用地 日本 
製作及び渡来年代(推定) 17世紀 江戸時代初期
素材/技法 絹、銀(截金) / 錦(平地・縫取織)、銀モール(截金は紺青に着色)
サイズ 横幅(緯)28cm×縦(経)19cm

江戸時代中後期に打敷とされ伝世した、江戸時代初期の舶載錦(ブロケード)の解き裂。

肉眼ではまったく判別できないものですが、顕微鏡で十倍以上に画像拡大したうえで観察することにより糸の一部が”モール”であること、また銀の截金に紺青の着色が施されていることなどが確認できます。

日本での呼称”モール”の語源は、インド・ムガル帝国(Mughal)の”ムガル”が訛ったものとする定説がありますが、本裂はまさにムガル帝国全盛期の17世紀のインドで織られ、紅毛船・唐船等の交易船により日本に渡来した上手のモールと考察されます。

花卉文様を構成する絹糸は色によっては腐蝕脱落し、銀モールも剥がれて黄色の芯糸が覗く部分が多く、製作当初とは相当異なる姿になっていると思われますが、それでもここまで力強く瑞々しい美の生命を宿し続けていることに感動を覚えます。

17世紀当時のインドのモール織り入れブロケードが、ここまで糸遣い・織りが細密かつ巧緻であることに驚かされるとともに、様々な視点から鑑賞の愉しみが尽きることのない一枚です。


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(光学顕微鏡による画像)
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2022/4/18

15c プレ大航海時代 トラジャ渡りインド更紗  染織




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製作地(推定) インド北西部 グジャラート州  
製作年代(推定) 15世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スラウェシ島 トラジャ地方
素材/技法 木綿、天然染料 / 木版捺染、媒染、防染
サイズ 65cm×58cm

ヨーロッパ諸国による地球規模での海洋交易が行われる以前の、14〜15世紀に遡る時代に製作されたインド更紗がインドネシア・スラウェシ島トラジャ地方から見出されます。

イスラーム船が稀少な香辛料・香料を入手するための代価としてトラジャ地方にもたらしたと考察されるもので、”プレ大航海時代の交易インド更紗”と分類されるものです。

この種のトラジャ渡りインド更紗の共通点として、@製作地は総じて北西部(グジャラート)と推定されること、A木綿地がいわゆる鬼手であること、B茜染めは茶味の強い海老茶色・藍染めは色味の濃い暗色が基調・下染めは土色掛かった薄茶色であること、Cトラジャ伝統建築や舟形棺の装飾に見られる渦巻・蔓葉状幾何学モチーフが主副の模様に配されていること等が挙げられます。

17世紀以降のオランダ東インド会社がもたらしたインド更紗では、経緯絣パトラの意匠様式の影響が見受けられるものが増えデザインは多様化、製作地については拠点(積出港)のインド南東部コロマンデルが中心となり、絵柄・染め色を併せ作品の雰囲気は大きく変わります。

本作品、下に掲載の「参考画像」の作品、いずれも単に古いということにとどまらない独特の原初性が感じられ、どこか神秘的な空気感が匂い立ちます。


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(光学顕微鏡による画像)
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●参考画像 
14−15c製作の同種のトラジャ渡りインド更紗
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製作地 インド・グジャラート州
製作年代 1340年±40年(放射性炭素年代測定による)
Victoria and Albert Museum所蔵品
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製作地 インド・グジャラート州
製作年代 1370±40年(放射性炭素年代測定による)
Victoria and Albert Museum所蔵品
※上画像はTHAMES AND HUDSON刊「WOVEN CARGOES」より転載いたしております

2022/4/11

インド 17−18c 古渡り”算崩し文様”唐桟留裂  染織




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製作地 インド
渡来地・使用地 日本
製作及び渡来年代(推定) 17−18世紀 江戸時代初中期
素材/技法 木綿、天然染料(茜・藍) / 経緯とも双糸、平地・格子織
サイズ 横幅(緯)34cm、縦(経)69cm

経緯とも二本引き揃えの”双糸(そうし)”の木綿が赤青白の三色で配され、圧倒的な細密ぶりで”算崩し”の文様が織り上げられたインド舶来の古渡り木綿織物。

この”唐桟留(とうざんどめ)”と呼称された織物は、同じくインド舶来の”古渡り更紗”とともに、木綿を素材とする未知の次元の高度な技巧が加えられた染織として、戦国・安土桃山〜江戸初中期の大名・貴族・茶人等の数寄者を大いに魅了したことが資料・文献及び彼らが製作した裂帖等により伺うことができます。

そしてこれらの渡り木綿に対する憧れから国産木綿の生産及び和製木綿織物の発達が促され、江戸中後期の庶民文化の中で”嶋物(縞木綿)”がもてはやされるに至った、まさにその原初のもののひとつという見方ができるように思います。

今では失われし素材感と手技のもの、近世海洋交易の時代に心誘われる一枚です。


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(光学顕微鏡による画像)
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●目盛は1mm単位

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2022/4/5

出雲地方 19c ”鶴亀模様”孫ごしらえ 筒描産湯布  染織




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製作地 日本・島根県 出雲地方
製作年代(推定) 19世紀後期 明治時代
素材/技法 木綿、天然藍 / 帽子絞り、筒描
サイズ 横幅62cm(2枚接ぎ)、縦81cm

嫁いだ娘と生まれた孫のために生家が仕立てて贈る伝統を有した、”孫ごしらえ”の呼称で知られる出雲地方の特色のある筒描布。

布上部が斜めに帽子絞りで防染され、その下に鶴亀松竹が筒描・藍染めで表されたこの布は、産湯の際の湯上げ布とされたもので、防染(白抜き)部分には紅花等によって赤の色付けがなされ、これで顔・皮膚を拭うことにより魔除け・病除けとする願掛けの意が込められたものとなります。

本布の筒描の線が並ならぬ力強さを有しているのは、子供の健やかな成長を願う祈りの強さゆえであろうと実感されます。疱瘡・麻疹等による乳幼児の死亡率が高かった時代の所産です。

時代が下がると総じて筒描の線は柔らかくなり、”瑞亀”の顔も穏和になっていきます。


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(光学顕微鏡による画像)
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2022/3/28

インド・マスリパタム 19c 聖母子と天使図 インド更紗  染織




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製作地 インド南東部 マスリパタム Masulipatam  
製作年代(推定) 19世紀前期
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き、木版捺染、媒染、防染、片面染め
サイズ 横幅148cm(2枚接ぎ)、縦292cm

”聖母子と天使”のキリスト教絵図が染め描かれた長さ約3mの大判のインド更紗。

周囲の”花唐草模様”のボーダーと上部の”尖塔状模様”は明らかにペルシャ向けインド更紗の流用であり、木綿地・染め色・防染技法等の意匠細部から、これがペルシャ向けインド更紗の主要生産地であったマスリパタムで手掛けられたものとほぼ特定することができます。

主模様の聖母子と天使の絵図に関しては、ヒンドゥ様式インド更紗の寺院掛布”ピチャヴァイ”の構図・モチーフの援用(引用)が確認でき、大盛りのザクロ(吉祥果)等の供物の描き方にそれが顕著に表れております。

本インド更紗の第一の魅力は、衣裳を染める茜赤と藍青を主体とする色彩の豊かさ・美しさにあるように思われます。取り分け瑞々しくかつ濃厚な色味の青が何とも印象的で、これはピチャヴァイにおいてクリシュナ神の肌を染める色と重なって目に映ります。

長きにわたり宗教的な(聖なる)布を製作する中で代々培われた高度な染色技術が実感されるものです。

インド国内のキリスト教コミュニティからの発注品である可能性が高いように思われますが、この種の絵画的なキリスト教様式インド更紗は残存する類例が限られるため、製作背景・使途等について判然としない点もあり、その分資料的に極めて興味深く魅力の尽きない一枚です。


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(光学顕微鏡による画像)
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2022/3/7

江戸時代 茶地双獣円紋朱雀文錦 仕覆  染織




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製作地 日本 京都  
製作年代(推定) 19世紀 江戸時代
種類 志野香合の仕覆
素材/技法 絹、天然染料 / 表地:変形平地 絵緯浮文平とじ(別絡)、裏地:平織
サイズ 胴周り約15cm、高さ約5.5cm

飛鳥時代に伝来した蜀江錦(経錦)にならい、江戸時代に茶裂として製作されたと考察される”双獣円紋朱雀文錦”の仕覆。

同手模様の錦は明治・大正時代に入り工芸織物として流通したジャカード織製品により有名となりますが、本布はそれに遡る江戸期の作例で、”絵緯浮文平とじ(別絡)”の技法で巧緻に織り上げられたものです。

地組織も絵緯の入れ方・抑え方も一様ではなく、部位により様々な変化・工夫が加えられている様子を下の顕微鏡画像により確認することができます。

繊細でありつつふくよかな織り表情が優美、手織りの一糸一糸に生命が宿っており見飽きることがありません。


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(光学顕微鏡による画像)
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2022/3/1

東北地方 明治時代 大麻地常盤紺型装飾 袖なし  染織




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製作地 日本 東北地方
製作年代(推定) 19世紀末−20世紀初め 明治時代
素材/技法 大麻、木綿、天然藍 / 型染(常盤紺型)
サイズ 肩幅42cm、胸周り約100cm、着丈69cm

深く濃い色味の藍に染められた大麻布を服地に、絣模様を型染により緻密に染め表した常盤紺型(ときわこんがた)の布により装飾が加えられた明治期東北地方の袖なし上着。

背部の菱形充て布に目がいきますが、これは背中に負荷がかかる労働に就く者の仕事着であることを示し、強度を高めるため斜め(バイアス)に布が縫いつけられたものですが、内側から縦方向に充てられた木綿布の刺し縫いとともにデザイン性も強く意識されている様子が伺えます。

また常盤紺型を含め染料は藍のみですが、様々な色調の藍を交えることで見映えを高めようとする作り手の意図がしっかりと伝わってきます。

極めて細く裂かれ束ねられ、強めに撚りがかけられた丈夫な大麻糸が経緯に用いられた質実本位の衣装、今では失われし高度な技巧と並々ならぬ手間暇を要する民間手仕事の所産です。



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(光学顕微鏡による画像)
●服地 大麻×大麻
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●加飾 木綿×木綿 型染
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2022/2/23

沖縄・八重山 竹富島 苧麻地グンボウ絣装飾 衣装  染織




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製作地 沖縄・八重山 竹富島
製作年代(推定) 20世紀前期
素材/技法 服地:苧麻×苧麻、加飾:(経)木綿×(緯)芭蕉 / 平地、経絣
サイズ 袖丈30cm、肩幅62cm、着丈88cm

苧麻織りの服地に木綿と芭蕉の交織(グンボウ)による経絣布の装飾が加えられた、八重山諸島竹富島の衣装作品。

筒袖で身頃脇にマチスリットが入った単衣の上着で、同手衣装についての資料・文献が見当たらないため詳細は不明ですが、祭事の衣装と推察されるものです。

苧麻糸の経は甘撚、緯は不撚の平糸でそれぞれ撚り接ぎがなされており、加飾の芭蕉緯糸は平糸の結びつなぎがなされている様子を顕微鏡画像で確認できます。

染めは絣の藍のみで、苧麻の白、木綿×芭蕉の白、絣部分の白が異なる色として目に映り、糸・繊維の生の美しさが最大の見どころです。藍が白の美しさをより際立たせているとも感じます。

八重山の空・海・陽光のもとで、本衣装の生命の輝きはいかばかりであるかと想像します。



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(光学顕微鏡による画像)
●服地 苧麻×苧麻
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●加飾 (経)木綿×(緯)芭蕉
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2022/2/4

江戸時代末 木綿”波に真向兎”模様 筒描布  染織




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製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀後期 江戸時代末
素材/技法 木綿、天然染料、天然顔料 / 筒描、線描、摺込み
サイズ 幅(緯)18cm、長さ(経)83cm

荒波の中を正面に向かって駆けるうさぎの姿が躍動的に描かれた江戸時代末の筒描布。

うさぎは真剣な表情で、通常ののどやかな動物模様の染織とはやや趣きが異なります。半巾の中に表現は見事に結実しており、職人の気概、決意さえも伝わってくるように思われます。


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2022/2/1

18c シャム向け ”火焔状花模様”手描インド更紗裂  染織




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製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア Coromandel coast
製作年代(推定) 18世紀
渡来地・使用地 シャム王国 アユタヤ王朝期
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き(カラムカリ)、媒染、防染、片面染め
サイズ 横17cm、縦32cm

アユタヤ王朝期のシャム王国でデザインされ、インド南東部コロマンデル海岸エリアで手掛けられた交易染織としてのシャム更紗、宮廷儀礼用布の本体柄部分の断片です。

”火焔状花模様(ライ・カノック)”と呼称される花繋モチーフの連続文様が総手描き(カラムカリ)によりびっしりと染め描かれたもので、17cm×32cmの小裂ながら、サイズが小さい分、毛抜き状の描線(防染描)と色の染め分け(媒染描)の細密ぶりが際立って目に写ります。

インド更紗特有の媒染茜染めにより赤(明礬)と焦茶(鉄漿)が深く力強い色味で発色及び定着しており、250〜300年前後の時を経過しながら色褪せることの無い卓越した染色技術に圧倒される思いがいたします。

また糸遣いの繊細さ・織り密度の高さ・滑らかさも特筆すべきもの、当時インドが保有していた木綿染織全般にわたる高度な技術が小裂のうちに凝縮されている様を確認することができます。



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2022/1/29

江戸時代初中期 絹搦み織地 ”花模様”絞り染め着物裂  染織




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製作地 日本 京都
製作年代(推定) 17−18世紀 江戸時代初中期
素材/技法 絹、天然染料、天然顔料 / 搦み織、経浮文、絞り染め ※和紙裏打ち
サイズ 幅(緯)29.5cm、長さ(経)53.5cm

搦み織に経浮を加え”入子菱文”を織り表した巧緻な織物に、複数の技法を交えた絞り染めにより多彩な花模様を染め描いた、一見して並ならざる高貴な風情が伝わる着物裂。

残存する同種作例(比較資料)が身近に見当たらないため判然としない事柄も多く、製作年代についても絞り込みが難しいところですが、素材・技法・意匠・裂の出自等を総合して、江戸中期を下ることはないものと思われます。

織り密度の粗い搦み織は堅牢度が低くその分絹糸の劣化も進むため、長い年月を経過しながらここまで状態を保っているのは極稀なことであり、製作当初の所有者のもとで大切に扱われ、打敷等として寺院に奉納された後もしっかりと保存継承され、そののち茶人・数寄者に類する者が軸装のために裏打ちを施したものと推察されます。

花を彩る”紫紺・黄丹・花浅葱”の色合いは何とも瑞々しく雅やかで、数百年の時を越えて生命が息づいている様子を確認できます。

彼の時代に想いを巡らせ鑑賞を愉しむことに尽きせぬ魅力が感じられる一枚です。


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2022/1/25

古渡りインド更紗 龍虎  染織




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18世紀 シャム王国渡り 黄地龍動物(菩薩)文様 部分裂
当店ご紹介品 



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18世紀 日本渡り 黄地花卉豹文様 部分裂
井伊家伝来 彦根更紗 

ユニークな色遣いと表情は、現実の虎や豹というより、どこか空想上の獣を思わせます。インド更紗は近世の日本でも珍重され、本作は彦根藩井伊家に伝来しました。鮮やかな赤色は、茜で染め出していると考えられます。南アジアの独特な虎・豹の表現がわかる作品です。

上画像・文は東京国立博物館「博物館に初もうで 今年はトーハク150周年!めでタイガー!!」
に展示(会期:令和4年1月2日〜30日)

2022/1/22

江戸時代後期 黒地”襷&三盛亀甲”模様 型染裂  染織




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製作地 日本 京都
製作年代(推定) 19世紀 江戸時代後期
素材/技法 木綿、天然染料、天然顔料 / 型染、片面染め
サイズ 幅(緯)34cm、長さ(経)188cm

鮮烈な黒染めと緻密な型紙彫描線が印象的な江戸時代後期の木綿型染裂。

有職文様の襷文が元となる繋ぎ模様の中に三盛亀甲の家紋が組み入れられたもので、布裏に綿の付着が残ることから蒲団表が解かれた一巾分と考えられますが、黒染めの蒲団表は珍しいものであり、武家・商家等からの特別な発注により本布が仕立てられたことが伺えます。

また黒を主体に部分的にベンガラによる赤茶の色付けを交えた本布の染め意匠は、京都”大原女染”と関わりがある可能性を指摘することができます。

上質な手紡ぎ糸を用いた密度の高い織りの木綿地は質感が豊かであるとともに丈夫であり、150〜200年の時を経て強度が損なわれていないのは優れた素材遣いゆえです。


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2022/1/17

江戸時代後期 ”波に水車柄杓御屋敷菊花”模様 火消刺子袢纏  染織




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製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀 江戸時代後期
素材/技法 木綿、天然染料、天然顔料 / 筒描、描き染め、刺し子
サイズ 肩幅58cm、袖丈29cm、身丈92cm

大波、水車、長短様々な蜘蛛手につけられた柄杓... 水にまつわる模様が躍動感豊かに描き込まれた江戸時代後期の火消装束・刺子袢纏。

上部の肩袖に描かれた石垣のある立派な御屋敷と菊花は、家々と人々の平安な生活を火事から守る仕事を担う意気が表されたものでしょうか。

特筆すべきは、江戸期の所産ならではの落ち着きと深みのある天然染料と天然顔料の色彩で、表地と刺子の藍をあわせて色の調和が見事です。

また内布には紅花染めの木綿が仕込まれていますが、鬼手に類する質感豊かな紡ぎ・織りの木綿を染める紅花の色味が優美かつ妖艶で、ここからも願掛けの意を汲取ることができます。

衣裳全体から江戸の色香が濃密に匂い立つ一品です。


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(光学顕微鏡による画像)
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2022/1/12

江戸時代初期 絹”御簾垣しだれ桜”模様 寛文小袖裂  染織




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製作地 日本 京都
製作年代(推定) 17世紀後期 江戸時代初期
素材/技法 絹、天然染料 / 糊染(筒描)、色挿し、型鹿の子(摺匹田)
サイズ 幅(緯)29.5cm、長さ(経)50.5cm

右肩上がりに配された御簾垣模様の入り方から着物全形を想像することが可能な(本記事最下の参考画像参照)、”寛文小袖”右後ろ身頃の部分裂。

350年前後を遡る時代の裂ながらここまで状態が保たれているのは、小袖が打敷等として寺院に奉納される慣習があったためであり、本布も長い年月にわたり寺院内で大切に保存・継承されてきたのち、比較的近年に裂として外に出てきたものと推察されます。

模様は糊染(筒描)の防染後に萌黄の地染めがなされ、型鹿の子(摺匹田)を交え鼠・茶・藍・紅花で色づけがなされていますが、友禅染め誕生以前の”初期友禅”と位置づけられる技法による色挿し、取り分け紅花の濃淡を効かせた染めに得も言われぬ雅な空気感が感じられます。

糸・織・染・描の細部に生命が瑞々しく嫋やかに宿っており、目にしていると時空を超えて彼の時代に誘われるような心地となるいにしえの一枚です。


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(光学顕微鏡による画像)
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(参考画像)
同時代・同デザイン様式の寛文小袖

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※上画像は(財)歴史民俗博物館振興会刊「[染]と[織]の肖像」より転載いたしております



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