2021/5/13

日本・東北 19c後 筒描&型染”結い上げ”馬掛け布  染織



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製作地 日本 東北地方
製作年代(推定) 19世紀後期 明治時代
素材/技法 木綿、天然藍、紅花染め / 筒描、型染、帯布は両面染め
サイズ 幅65cm(二枚接ぎ)、全長4m80cm(帯先から帯先の最長部)

中央の”腹掛け”部分と胴体に巻き付けて垂らす4本の”帯飾り”の全形を備えた、全長4m80cmに達する堂々たる「結い上げ・馬掛け布」の完品です。

腹掛け部分には筒描により”源氏車””唐草”が大ぶりに力強く染め描かれ、帯飾りには型染により”亀甲に四方花菱”が連続模様として端整に染め表されたもので、手紡ぎ・手織りの質感豊かな木綿地を彩る天然藍の色味は深くかつ瑞々しく、帯の分かれ部分に付された紅花染めのマチ布は絶妙な華やぎを加えており、祝祭時に豊穣・幸福の祈りとともに紺屋への特別な発注で手掛けられた種類の染織品に固有の濃密な精神性と色香が作品全体から薫ってまいります。

昭和初期に日本が戦時体制に入ると東北地方の農耕馬は軍用馬として徴用され、また紺屋において贅沢な筒描の製作もほぼ行われなくなったため、東北の馬掛け布製作の伝統は戦後の復興期までは一旦途切れてしまいました。 明治期の未だ馬が農耕の場面で日常的に活躍していた時代の馬掛け布であり、馬に対する並々ならぬ想いが伝わる、古き良き地方染織の逸品です。




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2021/5/4

江戸時代後期 ”茶地唐花唐草模様”和更紗(堺更紗)裂  染織




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製作地 日本 堺
製作年代(推定) 19世紀前期 江戸時代後期
素材/技法 木綿、顔料 / 型染、片面染め
サイズ 幅(緯)32.5cm、長さ(経)174cm

堺更紗といえば”紺青(ベロ藍)”を地染めに用いた藍地作品が代表的ですが、それとは別に”上手(じょうて)品”の部類に入るものとして、蘇芳・弁柄等の高級顔料を主色として、京更紗に倣い緻密なデザイン構成の模様を端整に染め表した本品のような系統の茶地作品が存在することが知られております。

19世紀前期、180〜200年を遡る時代に手掛けられたと推察されるこの”茶地唐花唐草模様”堺更紗は、濃淡を巧みに交えた上品な色味の茶地染め、茎・葉の間に瀟洒な小花(毬花)を多数描き加えた”唐草”、そして白抜きや黄染めにより輪郭線が入らないにも関わらず多弁花がくっきりと端整に染め描かれた主模様の”唐花”のいずれを目にしても粗いところが無く、熟練した技術を有する職人が製作にあたったことが伺える一品となります。

木綿地も目が詰んでいながらふんわりと柔らか味があり、当時としては相当質の高い上手木綿が用いられたことが明らかです。

両耳が整った32.5cm×174cmの大判裂で、使用頻度が少なく水をくぐらないまま代々大切に保管されてきた婚礼用蒲団表の一巾と推察されます。




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2021/4/25

江戸時代後期 ”微塵嶋&算崩”木綿間道裂  染織




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製作地 日本 ※地域不詳 
製作年代(推定) 19世紀前期 江戸時代後期
素材/技法 木綿、天然染料 / 平地、縞格子
サイズ 幅(緯)34cm、長さ(経)112cm

19世紀前期の江戸時代後期、”微塵嶋””蛇形(じゃがたら)嶋”としてもてはやされた種類の国産の木綿織物。

裂け穴の補修に同時代の”算崩(和唐桟)”の布が使われており、二種類の極細密な織りの間道裂のコンビネーションに格別な味わいと時代の浪漫が感じられます。

小堀遠州所持名物裂鑑「文龍帖」の中に”利休(間道)”と銘々された渡り裂が存在しますが(下参考画像)、本布はこれと近しい色柄表情の布裂で、安土桃山〜江戸前期にインドから舶載された”唐桟留”への憧れからはじまり、江戸中後期には日本国内でもここまで緻密な糸遣いの縞格子織物が生み出されていた様子を伺うことができます。




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   ●参考画像 小堀遠州所持名物裂鑑「文龍帖」
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  ※上画像は淡交社刊「名物裂」より転載いたしております







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2021/4/22

琉球王国 19c 木綿”白地波に桜千鳥楓模様”紅型裂  染織




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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀前期〜半ば
素材/技法 木綿、天然顔料、中模様−中柄・白地型紙 / 型染、糊防染、両面染め
サイズ 横幅(緯)37cm、縦(経)76cm

19世紀前期〜半ばの琉球王朝期に手掛けられた木綿地「白地波に桜千鳥楓模様」紅型。中模様−中柄の白地型紙が使用され、両面染めで製作された単衣用の作品です。

波と波頭模様の中に多彩な色遣いの”桜””千鳥””楓”のモチーフが散りばめられたもので、荒々しい波が布全面を埋め尽くす絵図にも関わらず、目にしていると何とも清々しく心が晴れやかになるような思いがいたします。

波頭の色の染め分けや桜の花の意図的な色の滲ませなど、細部に美の生命が宿っております。



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●参考画像 本紅型と同種模様の白地型紙(中模様−中柄)
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※上画像はサントリー美術館刊「紅型 琉球王朝のいろとかたち」より転載いたしております






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2021/4/19

江戸時代中期 「連雲(霊芝雲)宝尽し文様」金襴裂  染織




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製作地(推定) 中国 清朝期
製作年代(推定) 18−19世紀初期
渡来地・使用地 日本 江戸時代中期
素材/技法 絹、箔糸(平金糸) / 繻子地・金襴、全通・全越・別絡
サイズ 幅15cm(最大部16.5cm)、長さ50cm

金茶色の絹を経、生成り(薄茶)色の絹を緯とする繻子地をベースに、金を貼った箔糸が全通・全越で織り入れられ”連雲(霊芝雲)宝尽し文様”が織り地全体に緻密かつ端整に表現されたもので、金箔糸は地組織の糸とは異なる別絡の糸で巧緻に組織されており、時代はやや下がるものの、繻子地・全通・全越の金襴織物としての格調の高さと完成美を有しております。

表具若しくは打敷解きの一部分と考察される15cm×50cmの細長の裂地で、箔糸を見ると表面の金は製作当初の半分強が残っており、ここまで金が残っている江戸中期の金襴織物はなかなか見出し難い稀少なものと言うことができます。




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2021/4/16

19c 小花紋 ペルシャ錦(ブロケード織物)裂  染織




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製作地 ペルシャ 或いは ペルシャ向けインド製
製作年代(推定) 19世紀
素材/技法 絹 / ブロケード(平地・緯紋織)
サイズ 幅(緯)28.5cm、縦(経)48cm 同サイズが2枚

19世紀にペルシャ或いはペルシャ向けにインドで手掛けられたブロケード織物裂。

織り組織(経緯)は撚絹、絵緯は不撚の多色絹を素材とする平地・緯紋織の技法による緻密なブロケード織物で、華やぎと落ち着きを兼ね備えた紅赤地に織り描かれた優美な花模様、ペルシャ宮廷やムガル宮廷で好まれた傾きを加えた”小花紋”の連続模様に固有の気品と格調高い様式美が濃密に薫ってまいります。




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2021/4/10

日本・京都 17c 舶載白綸子地絞り染め着物裂  染織




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製作地 日本 京都 ※白綸子は中国からの舶載品
製作年代(推定) 17世紀(〜18世紀初頭) 江戸時代初期
素材/技法 絹、天然染料 / 綸子、縫い絞り、疋田絞り
サイズ 横17.5cm、縦29cm

室町末〜桃山期の「辻が花」の残り香が色濃く感じられる”縫い締め絞り”の染め分け、上質な生糸遣いで”卍繋ぎ”に様々な意匠の”花模様”が繻子裏組織で緻密に織り表わされた”紗綾型綸子”の「唐船舶載絹織物」、江戸時代初期の染織に固有の精神性の深みに惹き込まれる絞り染め着物裂です。

紅花染めの紅に黄染料(キハダや梔子)を交色し華やぎ感を加えた”猩々緋(しょうじょうひ)”、落ち着いたマットな色味の”檳榔樹黒”との色コントラストが何とも秀逸で、糸・織り・染めの意匠全体から中国・日本双方の職人手仕事の技巧の完成美・格調美が薫ってまいります。

三百余年を遡る江戸初期の貴重な伝世古裂、時代の色香に惹き込まれる一枚です。




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2021/4/7

日本・兵庫 19c後〜20c初 木綿縞”佐治木綿(縞貫)”裂  染織




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製作地 日本 兵庫県丹波市(丹波国佐治村) 
製作年代(推定) 19世紀後期〜20世紀初頭 江戸時代末〜明治時代
素材/技法 木綿、天然染料 / 平地、縞格子
サイズ 幅(緯)33cm、長さ(経)65cm

緻密で端整な織りながら、布のどの部位を目にしても一糸一糸に表情の豊かさと滋味が感じられる、江戸末〜明治期の「佐治木綿(縞貫)」、糸・染め・織りに高度な技巧と精神性が加えられた様子が伺える一枚です。

本布は絹(つまみ糸)は配されず、緯糸のすべてに手紡ぎ感の強い木綿糸が用いられている点に固有の特徴及び特殊性が見られます。

素材を木綿のみとした理由は定かではありませんが、蒲団表として使用された形跡(布片面に色褪せがみられる)から、布の強度と肌触り(柔らか味)等を重視する中で、画像でも確認できるような細太織り交ぜた不均質な手紡ぎ木綿を織り全面に敢えて用いた可能性を指摘できます。




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2021/4/4

日本・東北 19c後 木綿”唐草&鱗模様”筒描馬掛け布  染織




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製作地 日本・東北地方
製作年代(推定) 19世紀後期 明治時代
素材/技法 木綿、天然染料、天然顔料 / 筒描、摺り込み
サイズ 横幅(上辺)178cm・(下辺)89cm、縦52cm

東北地方は南部(青森・岩手)の“南部駒”、最上(山形)の”小国駒”を筆頭に名馬の産地を数多擁するとともに、古来より馬に纏わる習俗・伝承が豊富で、農耕馬・荷役馬への愛情深く、オシラサマなど馬への信仰が篤かった土地柄となります。

この馬掛け布は婚礼時や祝祭時に馬を所有する商家や富裕農家が紺屋への特別な発注で仕立てる伝統を有したもの、本品は手紡ぎ・手織りの木綿を台布に手描き・手染めの“筒描”の技法により意匠付けがなされた作品で、渦巻き状の”唐草”と小さな三角形が連なる”鱗”の吉祥・守護模様が、”源氏車”の家紋と”檪木”の家名及び”踏馬御免”の常套句とともに多彩かつ力強い意匠で染め表されております。

取り分け流麗で生き生きとした生命感を薫らせる”唐草模様”と藍濃淡を加えると5色で染め表された”鱗模様”のコンビネーションが秀逸で、描き線と染め色の随所から江戸職人直系の卓越した仕事ぶりを感じることができます。

明治期の未だ馬が農耕の場面で日常的に活躍していた時代の馬掛け布であり、馬に対する並々ならぬ想いが伝わる、古き良き日本の地方染織の逸品です。



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2021/4/1

琉球王国 19c 木綿”白地稲妻に短冊菊楓模様”紅型裂  染織




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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀前期〜半ば
素材/技法 木綿、天然顔料 / 型染、糊防染、片面染め
サイズ 横幅(緯)39cm、長さ(経)48cm

稲妻模様の中に多彩かつ緻密な絵柄構成の”短冊”と大輪の”菊”及び”楓”が散りばめられた、見応え溢れる琉球王朝期の紅型裂です。

中手模様の型紙を用い稲妻模様が滑らかに繋がるよう巧みに染め描かれており、華やかながらも落ち着きのある天然顔料の色味にも王朝期古紅型ならではの格調の高さが感じられます。

特筆すべきは、横幅(緯)39cm×長さ(経)48cmの大判裂で両耳が整い、糸・布・色彩の状態も極めて良好である点で、現在では早々見出し難い資料的に貴重な一枚と言うことができます。



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2021/2/27

インド 18c スマトラ向け”茜描き染め格子模様”インド更紗裂  染織



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製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア Coromandel coast
製作年代(推定) 18世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スマトラ島
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き(カラムカリ)、媒染、片面染め
サイズ 27.5cm×21.5cm

細太の糸を交えた手紡ぎ木綿の触感がある”鬼手(おにで)”木綿地に、カラムカリ(手描き)の技法により細密な格子模様が染め描かれた、18cインドネシア・スマトラ渡りのインド更紗裂。

下に掲載の参考画像の作品のような、上下に鋸歯文様を配したスンバギ様式のインド更紗の本体柄及びサイドボーダー柄であったと考察される部分裂で、縦横ともに明礬媒染(=赤に発色する)の線を約2mm間隔の二重線(二筋縞)で描き上げ、その間に明礬+鉄漿媒染(=紫に発色する)を塗り、茜染料に浸染することで、二色遣いの格子模様を表現したものとなります。

一見するとラフな染めとも思えますが、全形では横幅1m前後・縦2m前後の長さの布上に手描きの二重線をむらなく引き、さらに二重線内の1.5mm程度の隙間(無数の隙間)に点々と紫に染める部分の媒染液を筆(カラム)で置いていくことで細部に破綻の無い模様を完成させており、並々ならぬ手技と根気が加えられた染め布と言うことができます。

和名をあてると「白地細格子花唐草模様」となる一枚で、インドネシア渡りですが、日本渡りであっても違和感の無い、明らかに数寄者好みの意匠のもので、質感ある手触りの鬼手木綿と、緻密でありながら枯淡な雰囲気を湛える手描き格子模様に得も言われぬ滋味が薫ってまいります。

縦横の直線で構成される単純模様でありながら出来上がりの表情は硬く神経質な雰囲気とはならず、大らかで柔らか味や伸びやかさがある、古渡り期インド更紗の実力を感じる一枚です。



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●参考画像 手描きで格子状模様が描かれた近似する意匠のインド更紗
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※上画像は京都書院刊「知られざるインド更紗」より転載いたしております





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2021/2/23

日本 19c後〜20c初 木綿”牡丹&散し楓模様”筒描掛け布  染織




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製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀後期−20世紀初め 明治時代
素材/技法 木綿、天然染料、顔料 / 表:筒描(防染)、描き染め(彩色)、裏:紫根染め
サイズ 横76cm、縦100cm

日本で19世紀後期〜20世紀初めの明治時代に手掛けられた、木綿”牡丹&散し楓模様”筒描掛け布。

2+半巾の小ぶりの筒描き布で、下隅に配されたフリンジから油箪等の掛け布とされたと推察されますが、紫根染め(病除け)の裏地から赤ちゃん・幼児用の布とされた可能性も考えられます。

いずれにせよ、日常とは異なるハレのものとして紺屋への特別な発注で製作されたことは間違いなく、筒描&描き染めの意匠は細部にまで神経が通い、紫根染め裏地をあわせ、固有の華やぎと格調の高さを纏った作品となっております。

時代は明治に下ると思われますが、江戸職人直系の仕事ぶりが、線描きの”一線一線”、重ね染めや暈しを駆使した染めの”一色一色”、さらには手紡ぎ木綿や縫いの”一糸一糸”から感じ取ることができ、職人の意気・誇りに打たれ、背筋が伸びる思いがする一枚です。



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2021/2/19

インド 18c シャム向け”円花&瓔珞模様”インド更紗裂  染織




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製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア
製作年代(推定) 18世紀
渡来地・使用地 シャム王国 アユタヤ王朝期
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き(カラムカリ)、媒染、防染、片面染め
サイズ 横25.5cm、縦124cm

インドで手掛けられ、アユタヤ王朝期18世紀のシャム王国(タイ)にもたらされた”円花&瓔珞模様”インド更紗裂。

本布は、本体部に大ぶりの”円花模様”と”火焔状模様”、エンドボーダーに多層の”瓔珞模様”が表されたもので、部分裂ながら124cmの長さがあり、完品では横幅1m・長さ3mに達する大判の仏教儀礼用の腰衣”パー・ヌン(pha nung)”であったと考察される一枚です。

何と言っても9層におよぶ”瓔珞模様”の存在感が際立っており、茜赤と黒(焦茶)の深く鮮やかな色味が印象的な”円花&火焔状模様”とあわせ、インド・コロマンデルへの特注品である宮廷様式シャム更紗ならではの格調の高さと荘厳美が濃密に薫ってまいります。

そして特筆すべきは、大小すべてのモチーフが総手描きの”カラムカリ”で染め表されている点で、流麗で躍動感のある毛抜き状の線描きが見事、円花模様のひとつひとつ、瓔珞の部分部分の表情が異なっており、モチーフには硬さが無く細部にまで美の生命が宿っております。

糸・布・染料、職人の染色技術、作品の背景にある精神性、そのすべてが今では失われし再現することの出来ないもの、土地と時代が育んだ木綿染色の孤高の名品裂です。



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2021/2/15

琉球王国 19c 苧麻”白地小花貝模様”紅型裂  染織



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製作地 琉球王国(現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀
素材/技法 苧麻、天然顔料 / 型染、糊防染、両面染め
サイズ 横13.5cm、縦9.5cm

琉球王国(現日本国・沖縄県)で19世紀に手掛けられた、苧麻”白地小花貝模様”紅型裂。

サントリー美術館発行「紅型 琉球王朝のいろとかたち」に本品と同手型紙で作られた苧麻地衣裳の掲載があり、解説文に「絣織りの地に型染めした珍しい紅型衣裳」との記載があります。

小さな裂ですが、貝・貝藻・小花等の緻密な絵柄のモチーフが多彩に染め描かれた可憐な苧麻地紅型で、画像からも絣による地模様(濃淡の線模様)を確認することができます。

上質な苧麻の糸遣いと手の込んだ多色両面染めの王侯貴族衣裳用の裂で、貴重な一枚です。



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     ●参考画像
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同手型紙が用いられ色遣いも近似する苧麻地紅型の衣裳
東京国立博物館収蔵
※上画像はサントリー美術館発行「紅型 琉球王朝のいろとかたち」より転載いたしております




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2021/2/13

日本・東北 19c後〜20c初 木綿”波に兎模様”筒描馬掛け布  染織




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製作地 日本・東北地方
製作年代(推定) 19世紀後期−20世紀初頭 江戸時代末〜明治時代
素材/技法 木綿、天然染料、顔料 / 筒描、摺り込み
サイズ 幅35cm、長さ202cm

日本の東北地方で19世紀後期〜20世紀初頭の江戸時代末から明治時代に手掛けられた、木綿”波に兎模様”筒描馬掛け布。

東北地方は南部(青森・岩手)の“南部駒”、最上(山形)の”小国駒”を筆頭に名馬の産地を数多擁するとともに、古来より馬に纏わる習俗・伝承が豊富で、農耕馬・荷役馬への愛情深く、オシラサマなど馬への信仰が篤かった土地柄となります。

この馬掛け布は婚礼時や祝祭時に馬を所有する商家や富裕農家が紺屋への特別な発注で仕立てる伝統を有したもの、本品は手紡ぎ・手織りの木綿を台布に手描き・手染めの“筒描”の技法により意匠付けがなされた作品で、豊穣・飛躍を象徴する”波に兎”の吉祥模様 が、”鷹の羽紋”の家紋及び”踏馬御免”の常套句とともに躍動感溢れる姿で染め表されております。

“馬掛け布”は装飾する部位により形状・サイズが異なりますが、幅35cm・長さ202cmの一枚布で中央付近に紐を通すための一対の乳(ち)が付され中央に家紋が配された本布は、腰・尻部に掛けて使用されたものと推察されます。

ふっくらした体躯で紅花染めと思われる和らぎある桜色でほんのりと色づけされた兎の姿が何とも可憐で愛らしく、波模様を交えた明瞭で生き生きとした意匠表情に目と心を奪われる一枚です。




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