何年か前にデミ・ムーアとゲイリー・オールドマンが出ていた「スカーレット・レター」を見たことがあるので本作も、ホーソンの「緋文字」が原作のリメイクだとずっと思っていました。
でも、この映画に出た後に自殺で亡くなったイ・ウンジュさんのニュースが流れた時、これは、時代も現代で、ストーリー自体も全く違うものだとわかりました。それでも、あのニュースの直後には正直言ってみる気になれなかったし、違う感情が湧いてストーリーどころじゃないような気がしていました。
それでやっと見たわけですが、やっぱり今見て正解だったかも、イ・ウンジュ演じる魔性の女カヒが生を謳歌して苦悩して死んでいく、その姿とイ・ウンジュさんそのものとは切り離してみることができたと思うので。
ハン・ソッキュといえばいつも誠実なやさしい寡黙な男というイメージですが、この中ではエネルギッシュでぎらぎらした感じのちょっとナルシストが入った男でした。愛人(カヒ)と妻の間をうまく渡り歩いて、人生なんて手のひらで転がすようなもの〜と思っていたんでしょうね。ごきげんででオペラを口ずさんでいましたから。ソッキュさま、ナルな男もとっても上手だと思うのだけど、役の上で作っているだけだと思ってしまうので、綻びが生じても納得してしまうのかも。
でも、切り離して見れた…とはいえ、愛人カヒの悲しさはとても切なくてウンジュさんの美しさが際立つようでした。こんなにきれいで仕事に恵まれていても人間一寸先はわからない〜。あ、やっぱ切り離せてないか?
それにしても、この映画血が多い。エロちっくなシーンが多いと思ってたのに、それはそれほどでもなく、とりあえず血だらけ。心臓の弱い人はちょっと無理でしょ。
しかしねえ。ちょっとしたことで、破滅に向かう、歯車が合わなくなることはあることだけど、それがあの壮絶なラストに繋がるとは…。
それにしても、映像美も演技も素晴らしいのにどうしたらいいかわからない、見たあとにすぐ忘れたくなる映画でした…

0