『告白』 著・湊かなえ
さて、今回は湊かなえ氏の初の単行本『告白』です。産経新聞の広告でも少なくとも2回は見た本です。私が買ったのは第1版ですが、すでに重版が行われているそうです。
〔あらすじ〕
「愛美は事故で死んだのでありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
終業式の日に生徒達の前で辞職を発表した森口はこんなことを言い出し、愛美が殺害されるまでの経緯を話し出した。
――第1章 聖教者
〔感想〕
この物語は全6章にて成り立っています。全部の章において1人称で語られていきますが、各章毎に物語の視点は変わります。あらすじに書いた第1章は森口教諭の視点で語られていきます。
一人称のお話ですので、自分の気持ちや経験はそのまま語られていますが、他の登場人物の気持ちや行動は予想として語っています。一人称小説なら当然のことですが(汗) ただ、この物語は章によって物語の視点が変わるので、ある一つの事件についても複数の視点からそれぞれの考えや気持ちが描かれています。これがこの物語の面白いところだと思います。
内容自体は、殺人事件、いじめと全体的に陰湿なお話です。しかし、妙なことにページをめくりたくて堪らないお話です。本の帯に記されている「書店員からの『告白』」にもあるように、「読中感も読後感」も最悪なお話なんですけどね。
一番この物語を読んでビビッと来たのは、第6章であの人物が登場した時ですね。登場の仕方からして驚嘆したくなります。そして、第6章は物語の謎が解ける章です。ここは途中で本を閉じたくはないシーンです。
最後に、この小説は確かに陰鬱で怖い感じすらするお話です。しかし、内容や構成はすごいので、興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
〔余談〕
先日、Yシャツのボタンが取れていましたので、数年ぶりに裁縫をやりました。小学生の時に泣きながら覚えたおかげか。体は覚えていたので難なく直すことができました。
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