(表紙もないボロの大学ノオト一行を半分にして)
てっぷ
ルてっぷ
(1980年代の私の医療費を手書きした痕を書き写す)
てっぷ
ルてっぷ
(墓場まで持っていこうとした義足が弾みに弾んで)
てっぷ
ルるるるてっぷ
ルルルるてっぷ
きりん、ぱんだぐま、天上のどうぶつえんには類人猿の汗をすって薄汚れたやさしい生きものたちがたくさんいて、ぼくは同じ空をみてともだちになりたいんだって話しかけた。
いつかかならず海をみせる。こんなになったからだだから下の世話もする。股がって煙草をふかす私のみえない目と星砂を歩いて、もしも水に怯えるのなら一等ふるい物語を語ってやるんだ。ひととひとの間に瞬く星を巡ったロケットの、あの子は語り終えずに逝ったから、最後までは話せない物語。だからぼくはどんなになっても看取るんだと、きりん、ぱんだぐま、てっぷ
ルるるるぅ 水を掛け汚れた生肌を洗い、汽笛を鳴らし知らせるんだ。
てっぷ
フうううてっぷ
るルルルルる 発車!
コレニノッタラモウサイゴダヨ
バイバイマタネバイバイマタネ
もうすこし歩く肩につかまるか
バイバイ
とっとゅバイバイ
とゅるる
(紙切れと寄り道する1990年代の屋上と動物園)
最後まではたらいてくれた
とてもよく、憶えている
避雷針の傍で濡れたまま いつだって待機してた
ちびのおまえは真っ先に飛び乗って
破れるようにして はしゃいだっけ
ずっと 憶えていたノオトには 書かなかったけれど
ずっと しぬまで、憶えていた
(先日の都電荒川線パフォーマンスのために
藤原安紀子さんが書き下ろしてくれた詩。
6月8日は安紀子さんの朗読が聴けたのですよ。)