ハモニカをやっている身としては、ハモニカが入ったバンドブルースを聴く場合、まずはどうしてもハーピストが何をしているかに意識がいくわけですが、曲を聞き込んでいくほどに、他のパート、ギターのバッキングやピアノのフレーズ、あるいはリズム隊がつくり出している動きが、実は、その曲の雰囲気を決定づけている、あるいは「その曲をその曲たらしめている」ことに気がつきます。
ブルースセッションでは、駆け出しの頃は、自分がハモニカを吹く(またはハモニカも吹いて唄をうたう)ということがまずは喜びで、その分舞い上がって自分のやることだけで必死だったりするわけですが、だんだん現場に慣れてリラックスして演奏できるようになると、他のパートの音や動きもわかってくるようになってきます。
ハモニカ吹きとしての自分の現時点での腕前(口前?)を棚に上げての話ですが、自分が唄とハモニカを担当しているとき、例えばバックでギターの人がちょっとした出してくれたリフがツボにはまると、「そうそう、これでなくっちゃ!」と嬉しくなってしまいます。それだけのことでハモニカを吹くのも唄をうたうにも、新たな気持ちが入って、そのときのセットの演奏は充実したものになり、ステージに上がってるメンバーも面白い、見て聴いている側も面白いということになるんだろうと思います。
「ブルースはワンパターンで、飽きてくる」という人もいらっしゃいますが、どうなんでしょう。私は、12小節の繰り返しの中に、実はさまざまなアイデアや共感、やり取りと盛り上がりがあるからこそ、「その場の時空を分かち合える喜び」に満ちていると信じているのですが。
CDに残されたブルースの先人たちの演奏こそ、そうしたアイデアの宝庫にほかなりませんが、それらを一つひとつ楽しみながら吸収していこうというセッション「イントロダクション・オブ・ザ・ブルース」が月1回第3日曜日の午後、四ツ橋のビートルズで開かれています。
大阪でもあちこちのライブハウスなどでブルースセッションが盛んですが、この企画は「セッションをもっともっと楽しめるようになるためのセッション」といったらいいでしょうか。通常のセッションと異なるのは、毎回課題曲があること。講師はギタリストの水野快行さん(プロフィールは所属バンドBlues-itのサイト
http://hp.tcup.jp/bluezit/で)で、スタンダード曲などを題材に、ギターのバッキングやリズムパターンについてのレクチャーのあと、実地にみんなで演奏してみるという流れです。
直接にはギタリスト向けのレクチャーですが、それ以外のパートでも「なるほど、そういうことだったのか」と私などにとっては大変有益で、私も都合がつく限りお邪魔しているのですが、昨日(3月19日)は先週来の風邪が完治せず、やむなく欠席しました。課題はサニー・ボーイの「Keep It To Yourself」でのロックウッドJrのバッキングだったそうで、さてどんな展開だったのでしょうか。
実は、この「イントロダクション・オブ・ザ・ブルース」にはもう一つ、他のセッションにはないコーナーがあるのですが、それはまた稿を改めて。

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