先日yesasia.comで詠春拳のDVDを購入した。
「小練頭」「尋橋」「彪指」「木人椿」など
である。
中国の南派拳術の属するこの拳法は、ブルース・
リーが若い頃修行したことで有名である。伝説
では、この拳法の創始者は南少林寺に関係する
尼さんで、名前を詠春といったらしい。実はあの
有名な聊斎志異にもこの尼さんの逸話らしいもの
があったように記憶する。
さて、なぜこの詠春拳に興味を持ったかというと、
その最初に習う型の小念頭(私の買ったDVDの
流派では「小練頭」というらしい。)を研究して
みたかったからだ。それに詠春拳は南派拳術の中
でも特に有名な流派でもあり、起源を南少林寺に
発しているということであるから、空手の源流で
ある白鶴拳【この拳法も女性が創始者である。】
にも通じるところが多いと推測される。(勢いで
中級型の「尋橋」高級型の「彪指」「木人椿」
なども買ってしまったが、次の「尋橋」には
なかなか進めそうにない…。A^_^;)
総じて武術で最初に習う型や技法は、その武術
流派の精髄や秘伝技で構成されていることが
多い。だから、この「小練頭」という型は大いに
研究する価値があると思われるのである。
今回購入した流派の詠春拳は広東の佛山の彭南と
いう方の伝えたものであったが、面白かったのは、
その冒頭の解説の中で「北には太極があり、南
には詠春がある」として太極拳と対比されていた
ことや、「詠春拳は内家拳である」と言い切って
いる点である。(…日本の常識では詠春拳は外家拳
であるとされているように思っていたが。)中国
では、いや広東あたりの中国ではどうも内家拳だ
とされているようである。
で、この彭南師は詠春拳を独自に発展させて
「有形於無形之中、随心所欲之境地」にまで
到らせた名人であると強調していた。
さて、この初級もしくは入門型と目される「小
練頭」はどこか空手の剛柔流の「転掌」の型に
似ているような気もするが、それよりもさらに
複雑に肩・胸・肘・腕・手首などを動かすので、
上半身を鍛える為のとてもよい鍛錬になると思
われる。
が、結構複雑な動きなので、ビデオで見るだけ
ではなかなか覚えにくい上に、内部をどう動か
すかという細かい指示が欲しいところだ。
DVDの一時停止やスローを活用して四苦八苦
しながら体に映し取っているが、本当に難しい。
主なのは手技で、内八字立ちで片手を高い位置の
腰で拳にして構え、もう一方の手でいろいろな
操作をする。一応どのような技として用いるかの
技法解説のようなものが付してあるが、それより
もなによりも、関節を引き伸ばしたり、肩と胸を
連動させたり、攻撃の気配を消したり、止められ
ない攻撃をする為の効果がふんだんに隠されて
いるような気がする。…難しいけど。
でもまぁ、DVDなどという便利な機械のおか
げで形だけは何とか覚えられそうである。しかし、
体の内部の細かい動きまで出来るようになるには
相当の訓練期間が必要となるかもしれない。
こういう訓練は、空手や拳法に限らず、武術には
是非とり入れて鍛錬した方が良いような気もする。

1