キリギリスは日本に戻って悟った。「自分はやっぱり働きアリなんだ…」。しかし、頭の中はまだキリギリス時代の優雅な日々に支配されている。よって、更新のペースはダラダラだ…。なぜ、今頃になってタイ編の更新をしているのだろうか?
「タイ カオレムダム編」
初日(1月21日)
シャドー10匹
(最大65cm、60cm前半×3、50cm台×3、小型×3)
外道でカスープ1.5kg、アタリ37回バラシ4回
カンチャナブリーを発ったミニバスは、ジャングルの中を蛇行する道を西へと飛ばした。「見通しの悪いこの道を、よくもこんなに飛ばせるものだ」と感心していると、やっぱり事故発生しましたー!(笑)。
目の前に大型トラックが突然現れた! 俺の乗っていたバスはドライバーの動物的感で避けて無事だったが、後方車が激突した模様です! 旅の最後に怪我しなくて良かった…。
気を取り直して続けよう。約1年ぶりのカオレムダム、今年もまた旅の最後の2日間だけ、「ミソンパンラフトハウス」にお世話になった。かつて1ヶ月も滞在し、自らポイント開拓を行っていたこの地。その頃の情熱はすっかり色あせた感があるが、今度時間がある時に「忘れもの」を捕りに戻ってこよう…。


今回、主人が「半額サービスにしてくれる」ということだったので、宿泊は1軒のフローティングハウスを借り切った。この水上家屋式ホテル、寝室・シャワー・トイレ・くつろぎスペースだけの質素な作りだが、イイんですよー! くつろぎスペースは壁が無く吹き曝しになっていて、そこで夕日を眺めながらビールを飲んで、釣りをして、風を感じて、波に揺られる。一度はお試しあれっ!(「トイレは湖に垂れ流し、シャワーも湖から汲み上げ」という難点があるんですけどね…)。

カオレムに朝日が昇る。最近、釣りのために目覚ましをセットしても、寝坊してしまうのが常であるが、カオレムの朝だけはなぜかパチっと目が覚める。日の出の6時と共に出撃するため、まだ湖が闇に包まれる5時半に目覚めた。

しかし、誰も起きてこないんですけど…。まあ、いつものことですが…。すっかり明るくなってから、やっと本日のボートマン「ワンチャイ」がのんびりと起き出してきた(苦笑)。出鼻をくじかれながらも、いざ出撃!
毎年のことだが、この時期のカオレムは非常に渋いのだ。増水期の真っ只中でジャングルが水没。ポイントを選びながら打ってゆくにはこの湖はあまりにも広大なのだ。そこで、前年はシャドーが呼吸にあがって来るのを探す釣り方をワンチャイに指示された。極たまに水面が小さく割れる瞬間を待ちながらジィーっと突っ立っているだけの辛い釣りである。それを覚悟して来た訳だが、今年は少し状況が違うようだ。「今まで無かったことだが、今年は普通に打っていってもバイトが頻繁にある」というのだ。
その言葉の通り、最初に船を止めた「本湖筋の水草ポイント」で開始直後からバイトが続く。そして最初の1匹、60cm前半クラス。
日が高く昇り暑くなってからもそれは続いた! 50〜60cm前半クラスで5匹、普通この時期なら「稚魚の群れから巣立ったばかりの25〜30cmクラス」も混ぜて1日5匹リミットといったところであるが、今年のカオレムは一体どうしたことだろう? 嬉しい誤算!



昼休憩はモン族の水上家屋にお邪魔した。宿で作ってもらったカオパット弁当(タイ風焼き飯)をたいらげて横になっていたその時、家主がイノシシを鉄砲で撃ってきた!


解体され、鍋でグツグツ煮込み、「お前も食うか?」。非常に微妙なおもてなしではあったが手をつけてみる。「あれ、美味いじゃん!!」

午後からも好調は続いた。50cm台、フナ科のフィッシュイーター「カスープ」の1.5kg。


60cm前半。

そして日没間際、この日最後のポイントでのことだった。水面を疾走するバズベイトが船まで5mといったところで、グットサイズが追尾しているのに気づく。そして、ラインが残り50cm、ほとんど限界ギリギリまで巻き取ったその時、「ドォーン」と水面が炸裂! 瞬時に合わせ、すぐにクラッチを切る。一度船下に潜られるが、割と楽に寄ってきた65cm。バズベイトを口元から外すとアームが90度に曲がっていた。
この時期でこれだけ釣れれば大満足! 釣行後のビアチャン(タイ製象印ビール)は格別でした!
2日目(1月22日)
シャドー8匹(50cm台×1、小型×7) アタリ31回バラシ3回
2日目の朝が来た。前夜たらふく酒を飲んでしまったが、初日の好調に興奮していたのか5時前には自然と目が覚めた。「一向に誰も起きてこない」ことに少々の苛立ちを感じてしまうが、「ここはタイなんだ」と自分に言い聞かせ、独り「マイペンライ(気にするな)」と呟いてみる。出発は再び「とっくに日が昇ってしまってから」だった…。
本日も気を取り直して続けよう…。この日は昨日好調だった本湖筋南岸とは反対側、北岸から攻め始めた。低い山、比較的シャローの多い南岸とは異なり、高い山岸から急激に落ち込むディープエリアをバズベイトで打ってゆく。「岸辺の倒木」など明確なポイントは少なく、アタリはまばら。結局、55cmを筆頭に30cmぐらいの子シャドーを数匹釣って午前を終える。
昼食は前日と同じモン族宅にお邪魔になるった。この日は「突然のイノシシ料理登場!」といったサプライズイベントは無く、ボートマン「ワンチャイ」は弁当を食べるとすぐに眠ってしまった。
一人取り残されぼぉーと湖を眺める俺。「それにしても、モノ凄く暇である」。「ナチュラルボーン キリギリス(生まれついてのキリギリス)」のタイ人の中にいると、自分が「にわかキリギリス」であったことが良く分かる。寝息をたて幸せそうに眠る彼らを羨みつつ、ついついシェスタ中にもルアーを投げてしまう働きアリの俺だった。
水上家屋から180度湖を見渡し、グットポイントと思えるのは「25mの先の水草でできた岬の先端」だけだった。そこにジョインテッドクロー148を投げ込み、少し間を置いてからワンアクションを加えた。途端に水面が盛り上がり何かが追って来たのが見てとれた。しかし、水草にフックが引っ掛かりその後アクションを加えることは出来なかった。そこで何気なくタックルBOXの中で目の留まったブラジリアンペンシルを投げてみた。ピーコックバス用の「カコーンカコーン」と甲高い音を出す例のペンシルである。
1投目、水草ギリギリに落ちたそのペンシル。直後に激しいジャークを加えると「ドバッ」と出てルアーが吹っ飛んだ! ノリはしなかったが、「で、デカかったです…」。その音に飛び起きたワンチャイも「ヤーイ(でかい)」と連呼する。いてもたってもいられなくなった俺はまだ眠そうなワンチャイを促し、午後の部を開始した!
最初のポイントは本湖から続く大きなワンド。そこからさらに小さく入り組んで伸びているが、岸辺には立ち木などの障害物は無く、一見なんでもないようなポイントだった。しかしアマゾンペンシルをキャストし始めて間もなく、3〜4kgクラスが2匹並んで追尾してくるのを目視する。そこで立ち泳ぎするぐらいさらに激しくジャークし、一瞬ストップを加えるとドーンでた! しかしリアフックが少しだけ掛かりすぐにフックアウト。目の前3mの出来事で全て見えていただけに地団駄を踏む俺。しかし、ワンチャイがつぶやいた。「あのサイズが8匹ぐらい群を成し移動している」。「ホントかよー?」と少々疑うが、水面を凝視すると確かに小さな泡がポコポコと時折現れ少しずつワンドの奥に移動してゆくのだ。
その後を慎重なオールさばきで追尾するワンチャイ、ロッドを構えたまま湖面を見つめる俺。しばらくして、呼吸でシャドーが浮いてきた! すかさずバズを投げると、バコッと出た。思いっきり合わせると、湖底に向かって突っ走る。かなりイイサイズ。しかし、ロッドが大きく弧を描いたところでもう一度合わせると、フックオフしてしまった…。結局それから小物を数匹捕るが、水面は爆発することは無かった。
西の空、ミャンマーに日が沈む。この美しい夕日は「釣り人にその日の終わり」を告げる。悲しげに映ってしまう夕日に、この時ばかりは釣り人であることを後悔する。「もっとのんびり」とこの時間を楽しみたいのだが…。また来年この美しい夕日を見に来よう。そして…。
「カオレムダム編」、お終い。
この釣行のタックル
ロッド「アマゾンフリップバリスタ(エバーグリーン)」
リール「スピードマスター201(シマノ)」
ライン「JIGGER8HG 60lb(サンライン)」
ルアー「バズベイト各種+トレーラー(ゲーリー4インチグラブ)」
偏光グラス「WARRIOR-W(山本光学 SWANS)」
「レイク カオレム写真集」
思えばもう6年も通い続けているのである、レイクカオレム。近年は以前のように「開拓」などという言葉にこだわらず、釣り宿「ミッソンパンラフトハウス」にお世話になっているのが現状だ。今年も時間がほとんど無かったので、やっぱり2日間だけだった…。一体、カオレム通いはいつまで続くのやら?

↑ サンクラブリーのシンボルとも言えるタイ国最長の木造橋。タイ人と少数民族モン族の村を結ぶ橋。

↑ 早朝にはモン族村から僧侶が托鉢にやってくる。

↑ 湖畔の家屋はほとんどがフローティングハウス。小さなボートに引かれて好きな所に移動できる。
↑ かつて、1時間40バーツ(約120円)で借りて、毎日このスワンボートで雷魚釣りをしたもんだ。あの日の情熱はいったいどこへいってしまったのだろう?(というか、今さらそんなしょぼい事などするかぁー笑)。ボロボロでもう乗ることは出来ないが、朝日に照らされちょっと美しいのが嬉しいね!
カンボジアで巨大豚に敗れてしまったので、イノシシでリベンジをしました…。


↑これは一体なんでしょうか?


美味しかったですよ…。